2011年3月11日,わが国は観測史上最大となるM9.0の東北地方太平洋沖地震(以下東北地震と略称する)にみまわれた.現在,新たに構築される地下鉄道はM8クラスの地震を想定して設計されているが,東北地震のようにM9クラスの地震が発生した際における地下鉄道の健全性については,いまのところ不明である.また,本研究の対象は東京の地下鉄として初期に建設されたシ(一)ルド工法によるトンネルであるため,設計に用いられた耐震基準は現行のものと比べるとかなり緩い基準になつている.そこで,東北地震発生時における東京の地下鉄道の挙動を明らかにすることが早急に求められている.地震発生時の地下構造物の挙動を明らかにする際,解析モデルに入力するための基盤波が必要となる.しかし,東京のシ(一)ルドトンネルにおいて観測された東北地震発生時の観測記録はGL-2.23 m,GL-20.2m地点の加速度記録のみである.本研究は東京の地下鉄のシ(一)ルドトンネルにおいて観測された東北地震発生時の加速度記録をもとに,地震発生時のシ(一)ルドトンネルの挙動を明らかにするために必要な基盤波について推定するものである.