浅谈整合营销传播及其在中国的发展

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  【摘要】整合营销传播是在全球营销领域形成的一套可操作的执行模式。文章在介绍了这种模式的产生的基础上,从我国的实际情况出发,提出中国企业成功实现整合营销传播的对策,为中国企业在经济全球化的过程中提供了一些参考。
  【关键词】整合营销 传播战略
  【中图分类号】F27 【文献标识码】A 【文章编号】1009-9646(2008)10(b)-0228-02
  
  1 整合营销传播的产生
  整合营销传播产生在商品经济发达的美国。上世纪80年代后期,许多企业发现:企业持续发展最重要的是建立并长期维持与各利害关系者间的良好关系。为了达到这一目的,企业必须在经营活动中最大限度地反映利害关系者的意向和希望。市场理念、广告活动或公共关系活动在成为近代企业经营必不可少条件的过程中,逐渐与经营管理中的要求相一致。这种状况从传播角度来看,它意味着企业经营活动使利害关系者认识和理解企业存在价值和活动领域中的许多内容和方面。
  为避免人们对未知对象或内容的戒心,企业就必须积极开展包括广告在内的各种传播活动。特别是在企业经营不景气时,传播活动作为摆脱困境的核心经营手段,应更加重视扩大发送的信息量。这时的企业传播的特点是整合各要素以扩展其关系领域:即降低事件或展览等需支付大量费用的活动的比率,减少费用投入的绝对量,宣传或促销、人员销售等传播活动也无须扩大规模,主要以增强传播密度的方式加大整体传播量并提高效率。把各自分散开展的企业传播活动战略性地联结起来已成为迫切的需求,这就构成了在可能的限度内进行整合的具体传播战略──整合营销传播战略的基础。
  整合营销不仅以消费者,而且还将从业人员、投资者、社区、大众媒体、政府、同行业者等作为利害关系对象,绝对不是对这些对象进行一次性的简单整合,而是具体的分阶段的一步步地进行的。对于企业,以产品力为基础的产品差别化变得很困难;开发创造性的新技术或新产品也变得很难,即使开发出新产品,由于技术的发达,仿制品会很快上市,产品的先占效果也很难实现;至于价格战略,降价固然很重要,但这也很难与低价的产品竞争,何况通过合理的流通渠道节约费用,从而降低单价的方法也有其界限。综合上述观点,通过最恰当手段的整合创造价值才是企业创造竞争优势的唯一方法。这就是整合营销传播。
  整合营销传播(Integrated Marketing Communication,简称IMC)就是指企业在经营活动过程中,以由外而内战略观点为基础,为了与利害关系者进行有效的沟通,以营销传播管理者为主体所展开的传播战略。即为了对消费者、从业人员、投资者、竞争对手等直接利害关系者和社区、大众媒体、政府、各种社会团体等间接利害关系者进行密切、有机的传播活动,营销传播管理者应该了解他们的需求,并反映到企业经营战略中,持续、一贯地提出合适的对策。为此,应首先决定符合企业实情的各种传播手段和方法的优先次序,通过计划、调整、控制等管理过程,有效地、阶段性地整合诸多企业传播活动。其核心思想就是将与企业进行市场营销所有关的一切传播活动一元化。
  
  2 中国企业如何运用好整合营销传播
  2.1 我国企业实施整合营销传播的现状
  20世纪90年代初,IMC的有关理论就引用中国。现在,我国企业界更是言必称“整合营销传播”,但相当部分的企业在生吞活剥IMC,导致理论与实践脱节。效果并不理想。IMC是方法论,需要建立在具体实践的基础之上,而《整合营销传播》的出炉本身,并不是根据中国市场实践而进行的经验总结,导致理论在中国的实践屡屡受挫。这里面就存在一个偏差,IMC是由西方实践而产生的,是解决发达市场传播问题的具体方法。那么,如何把这一理论进行有选择、动态地“洋为中用”就成为了摆在中国企业面前的一项关键任务。
  由于绝大部分中国企业没有进行过整合营销传播的实践,IMC对它们来讲反而成了一个玄而又玄的纯理论,对这一理论做出贡献的人在国内不是实践者,而是学者与研究人员。这样的背景从一开始就导致IMC根基不稳。这样,整合营销传播在我国企业的发展现状有如下三个特征:
  2.1.1 多企业还没有树立整合营销传播观念:企业的促进销售,无非是企业以各种方式劝说购买对象的行为,一旦消费者作为主动者的购买过程结束,企业便大功告成。
  2.1.2 诸侯割据,各自为政:每一位分管不同方面工作的沟通专家都在强调自己工作的重要性,并为自己力争更多的促销预算。各自为政条件下形成的平均主义的资金分配使得有限的促销费用根本不能得到有效的使用。
  2.1.3 互不了解,缺乏协调:企业中负责某一功能性沟通的人员往往几乎不知道其他种类的沟通工具。
  2.2 我国企业成功实施整合营销传播的对策
  对整合营销传播必须进行“本土化”改造,只有如此才能使得我国企业获得长足的发展,而不至于陷入整合的“迷局”。改造的原则必须是去粗取精,继承原有优势,扬弃旧有的弊端,以期在新的思想指导下使企业的营销传播策略收到事半功倍的效果。
  2.2.1 明确实现整合营销传播的要求 整合营销传播的根本要求是提升营销传播的效果,同时控制住营销传播的费用,从而有助于企业的长远发展。具体来说,整合营销传播绝不仅仅是营销部门的事情,它涉及到企业的整体,涉及到企业的战略、组织、企业文化等等。整合营销传播首先应做到各种媒介、公关推广方式的综合的、灵活的运用,这是最基础的工作。其次,要考虑在企业的各个方面与社会、客户、供应商等接触的过程中,要有一致的、有利于企业战略目标和当前营销重点的形象。再者,企业要在战略目标、 企业组织、日常运营管理和企业文化等深层次方面,与营销传播结合起来。从而做到时时刻刻,方方面面,长期短期,企业是紧紧地围绕着自己的经营使命而开展着有意义的、正面的一切活动。
  2.2.2 明确整合营销传播的目的 整合营销传播最基本目的就是通过制定统一的框架来协调传播计划,从而使组织达到“一种形象,一个声音”的效果,通过整合各种传播活动以获得更大的协同效应。以前,营销传播基本上只要几个有限的途径,如电视广告、报纸杂志广告、电台广告、户外广告、公共关系等,企业对营销的规划和管理也相对要容易得多,对传播规划和管理机构的要求也相对较低。而现在,一方面传统媒体变得更加专业化,企业在选择媒体的时候必须更深入地考虑其专业性和目标受众配合程度,根据传播需要来制定合适、协调的媒体方案;另一方面其他新型传播工具也有了巨大的发展,比如直销、事件营销、宣传手册、电子商务等等。整合传播手段就是将企业可以控制的各种营销传播活动加以协调从而形成一个连贯内聚的整体,使企业的每一个市场行为都必须围绕一个核心,在这过程中整合的重点在于改革及加强外围传播活动的动作、传递及有效性。整合营销的最终目的是通过统一企业的所有行为,使之能围绕一个主题,占领消费者的心智资源,使在消费者心目中在特定的细分市场形成唯一性,从而造就企业的相对竞争优势。这也就说,整合营销的目的也就是为了造就相对的竞争优势,采用的手段是通过统一企业的行为,在产品同质化的今天造就差异化,形成企业的相对竞争优势。
  2.2.3 明确整合营销传播的检验标准 每一种传播方式或方法对销售的促进都可能会产生不同的影响和效果,因而如何评估传播的效果及传播规划实施的有效性和合理性对企业营销传播十分必要。在过去,一般采用到达率、收视率、认知率、读者评分、行为和偏好衡量、品牌回忆和认可、提及人数等技术指标来进行评估。随着大众化媒体效率的降低、成本却不断增加,人们慢慢发觉,虽然这种评估的方法表面上看似符合“传播预算和销售机会成正比”这一原则,但实际上却并非如此,它不仅不能反映企业营销传播的成本效益,也对实际的销售业务难以提供足够的指导和评判依据,而随着差异化传播的实施,这样笼统而模糊的统计和评估就更难以适应企业的要求。企业在整合营销传播的过程中,将营销传播和财务效果结合起来无疑是一个比较有效和直观的方法。在整合营销传播中,将传播的效果更直接地反映在财务效果的层面,通过对各种传播手段的财务成本和收益的评估,使企业更加清晰每个传播行为、甚至针对每个特定顾客的效果和成本,从而更加有效和有针对性地调整传播策略、组合传播方式及企业资源配置。同时,通过这些真实的交易数据,组织就能将关注的焦点从产出结果转到真实的业务成果上来,这样企业就可以将自身优势资源和高利润顾客的需求满足结合起来,而对于其他的顾客和期望顾客,所有的传播投资预算都应根据他们的短期和长期经济潜力进行仔细的校准。
  
  3 结束语
  整合营销传播是对全球营销领域正在发生的变化进行深入思考之后,所提炼出的一种观念,然后逐渐形成一套可操作的执行模式。整合营销传播同中国的市场环境和传播环境的需要还有一定的距离,但整合营销传播观念的导入,对中国市场的成长又是极其必要的。有助于中国的企业在全球化的过程中未雨绸缪,应对未来的挑战,同时,更重要的意义在于,应该根据中国的市场特点,选择性地吸取整合营销传播理论中的精华。
  
  参考文献
  [1] 唐·E·舒尔茨等.整合行销传播.中国物价出版社.
  [2] 整合營销传播.北京三木广告公司,工商出版社.
  [3] (韩国)申光龙.整合营销传播战略管理.中国物资出版社.
  [4] Don E. Schutz."来るべきコミユニケ-シヨンの将来像",月刊Advertising,电通,1993.12., p. 9.
  [5] 中国广告,期刊.
  [6] WWW.biogchina.com.
  尊敬語の語形の誤り。「お持ったら」=>「お持ちになったら」
  (18)父はお元気でお過ごしてください。春のかわり目ですから、お体を大切してください。(手紙文)
  尊敬語語形の誤り。「お過ごしてください」=>「お過ごしください」
  (19)先生に二年ぶりに目にかかりませんでした。今、先生はお忙しいでいらっしゃいませんか。(手紙文)
  尊敬語の語形の誤り、「お忙しいでいらっしゃいませんか」=>「お忙しくていらっしゃいませんか」
  (20)先生は忙しいでいらっしゃいますか。(手紙文)
  「忙しいでいらっしゃいます」の語形の誤り。「忙しいでいらっしゃいます」=>「お忙しくていらっしゃいます」
  
  (21)この夏休み、先生に伺いたいと思います。先生のことで頭いっぱいです。先生に目にかかる時、ご期待させていただきます。(手紙文)
  「期待」という語の使い方の誤り。「ご期待させていただきます」=>「楽しみにしております」
  (22)夏休みは先生にお見舞いします。心から先生のお元気とお祈りします。(手紙文)
  「お元気」という語の使い方の誤り。「お元気」=>「ご健康」
  (23)中国での授業の事を心からお知りしたいと思います。(手紙文)
  謙譲語語彙の誤用。「お知りしたい」=>「存じ上げたい」
  以上の語形にかかわる誤用例文の分析を通して誤用をまとめている。
  1)「お/ご」使い分けの誤り。
  「お」+和語、「御」+漢語の使い分けが出来ていないため生じた誤り。例(1)「お決意」=>「ご決意」例(2)「ご手紙」=>「お手紙」
  「お/ご」を使うべき所を使っていない誤用。例(3)~例(9)、例(10)(「指導」=>「ご指導」)
  「お」を付けられない所につけた誤用。例⑩(「お先生」=>「先生」)、例?「お古里」=>「古里」
  (2)謙譲語語形の誤り。例(12)「お伺い申し上げございます」=>「お伺い申し上げます」、例(13)(「付けていただきます」=>「付けてください」)、例(14)「お送る」=>「お送りいただいて」、例(15)「お伺い」=>「お伺いしたい」
  3)尊敬語語形の誤り。例(16)「なって」=>「なさって」、例(17)「お持ったら」=>「お持ちになったら」、例(18)「お過ごしてください」=>「お過ごしください」、例(19)「お忙しいでいらっしゃいませんか」=>「お忙しくていらっしゃいませんか」、例(20)(「忙しいでいらっしゃいます」=>「忙しくていらっしゃいます」)
  4)語彙の使い方の誤り。例(21)「ご期待させていただきます」=>「楽しみにしております」、例(22)「お元気」=>「ご健康」、例(23)「お知りしたい」=>「存じ上げたい」
  5)語順の誤り。例(13)(「お過ごしいかがでしょうか」=>「いかがお過ごしでしょうか」)
  誤用例から中国人日本語学習者は敬語接頭辞「お/ご」の使い分けが分からないで起こった誤用。謙譲語「申し上げる」「伺う」等、尊敬語「なさる」「いらっしゃる」等をうまく使えない生じた誤用。「~ていただく」「~てください」のような受給表現がないため生じた誤用であることが分かった。(【注】恩恵授受表現について佐治氏は(1992)では「中国語では利益の授受の認定を日本語がするようには表現しない。そこで、受給表現と敬語のむすびついたものが中国人にとってはもっとも難しい。」と述べている。)
  B機能にかかわる誤用
  (24)お宿りするところは、家の学校の専家楼にしょう(ママ)と思いましたが。(佐治圭三1992)
  謙譲語、尊敬語の使い分け混同の誤り。「お宿りする」=>「お宿りになる」
  (25)外務省が私たちを招いていただいて(佐治圭三1992)
  謙譲語、尊敬語の使い分けの誤り。「招いていただいて???」=>「招いて下さって???」
  (26)先生、ご心配しないでください。(手紙文)
  尊敬語で表すべき所に謙譲語を使った誤り。「ご心配しない」=>「ご心配なさらない」
  (27)では、誰をお待ち合しますか。(佐治圭三1992)
  謙譲語と尊敬語の機能を十分理解できない誤り。「お待ち合します」=>「お待ち合になります」
  (28)私は空港まで先生をお迎えになっていたいと思います。(手紙文)
  謙譲語A機能の誤り。「お迎えになっていたい」=>「お迎えしたい」
  機能にかかわる誤用例は
  尊敬語と謙譲語の混同。
  1)尊敬語を使うべき所に謙譲語を使った誤用。例(24)「お宿りする」=>「お宿りになる」、例(25)「招いていただいて…」=>「招いて下さって…」、例(26)「ご心配しない」=>「ご心配なさらない」、例(27)「お待ち合します」=>「お待ち合になります」
  2)謙譲語を使うべき所に尊敬語を使った誤用。例(28)「お迎えになっていたい」=>「お迎えしたい」
  である。尊敬語、謙譲語の機能を十分理解できないため起こした誤用であることが分かった。
  C適用にかかわる誤用
  (29)ご身に気をつけてくださいます。心からご健康お祈りいたします。(手紙文)
  丁寧語「ます」を使うべきでない所に使った誤用。「気をつけてくださいます」=>「気をつけてください」
  (30)先生、ご体をお気を付けて下さいます。(手紙文)
  丁寧語の「ます」を使うべきでない所に使った誤用。「お気を付けて下さいます」=>「お気をつけてください」
  (31)勿論、父は、外国へ勉強に行く息子のことを心配しておられると思う。(佐治圭三1992)
  身内を高める誤り。「心配しておられる」=>「心配していてくれる」
  以下の例(32)~(35)は家族外に対して使うべき「父」「両親」を家族に対して使った誤用。
  (32)父はお元気でお過ごしてください。春のかわり目ですから、お體を大切してください。(手紙文)
  「父」=>「お父さん」
  (33)父はお元気ですか。こちらは天気がよくなりました。お古里はいかがでしょうか。(次段落に)父はお元気でいらっしゃいますか、おかげさまで私は元気です。(手紙文)
  「父」=>「お父さん」
  (34)両親はお元気でいらっしゃいますか。おかげさまで私も元気に勉強しています。(手紙文)
  「両親」=>「ご両親」
  (35)父はお元気でいらっしゃいますか、おかげさまで私は元気です。(手紙文)
  「父」=>「お父さん」
  上述適用にかかわる誤用例はまとめたら
  1)丁寧語「ます」を使うべきでない所に使った誤用。例(29)(「気をつけてくださいます」=>「気をつけてください」)、例(30)(「お気を付けて下さいます」=>「お気をつけてください」)
  2)身内を高める誤り。例(31)(「心配しておられる」=>「心配していてくれる」)
  3)親族語を呼びかけ語にした誤用。例(32)(「父」=>「お父さん」)、例(33)(「父」=>「お父さん」)、例(35)(「父」=>「お父さん」)、例(34)(「両親」=>「ご両親」)
  ここで特に説明したいのは日常生活では中国人は身内かどうか問わないで、年配の人に対して尊敬語か謙譲語を使うのは一般常識であり、誤用とは考えられない。自分の家族を言う時でも、また他人の父のことを言う場合でもすべて同じ「父」が使える。
  D母語干渉にかかわる誤用
  菊地康人(2003)の三つの観点以外の語用として母語干渉にかかわる次のような誤用があった。
  (36)先生は「~」といつも私に言います。(手紙文)
  尊敬語を使うべき相手に使っていない誤用。「言います」=>「おっしゃいます」
  (37)今まで先生は言った「勉強ということは終わりがない」という話が理解できました。(手紙文)
  尊敬語を使うべき相手に使っていない誤用。「言った」=>「おっしゃった」
  (38)ご一家によろしくお伝えください。お元気と祈ります(ママ)。(手紙文)
  中国語の「一家」をそのまま使った誤り。「ご一家」=>「ご家族」
  (39)中学時代のいろいろな関心にはどうもありがとうございました。(手紙文)
  「心使い」の意味が中国語で「関心」というので、それをそのまま使った
  誤り。「関心には」=>「心使い」
  (40)先生はお元気でしょう。先生は毎⒁猡筏皮坤丹ぁ#ㄊ旨埼模?中国語中国語「身体」、「注意」をそのまま使った誤用。「お身体」=>「お体」、「注意してください」=>「気をつけてください」
  (41)お体を大切にして、お元気でお過ごしください。ご安心ください(手紙の締めくくりに)。(手紙文)
  前半「お体を大切にして、お元気でお過ごしください。」と後半「ご安心ください」の話題の対象が一致していない誤用。
  (42)先生ご多忙でいらっしゃいますか。お元気でいらっしゃいますか。(冒頭に)(手紙文)
  句の順序の誤り。中国語だったら、“最近忙吗?身体好吗?”というので、それをそのまま訳した。
  (43)ご身に気をつけてくださいます。心からご健康お祈りいたします。(手紙文)語彙の誤り。「ご身」=>「お体」
  (44)先生、ご体をお気を付けて下さいます。(手紙文)
  語彙の誤り。「ご体」=>「お体」、
  上述の母語干渉にかかわる誤用は、
  ①語彙の誤り。
  ⅰ述語動詞は中国語は敬辞で現われないが日本語は敬語で現われるため生じた誤用。例(36)「言います」=>「おっしゃいます」、例(37)「言った」=>「おっしゃった」
  ⅱ中国語名詞をそのまま使った誤り。例(38)「ご一家」=>「ご家族」、例(39)「関心には」=>「心使い」、例(40)「お身体」=>「お体」、「注意してください」=>「気をつけてください」
  ⅱ語彙の誤り。例(43)「ご身」=>「お体」、例(44)「ご体」=>「お体」“身体”という語彙の前の“身”を取って“ご身”を作って、後ろの“体”を取って“ご体”を作った生じた誤用。
  ②句順の問題。例(41)、例(42)言語習慣に従って日本語表現を干渉した起こった誤用。
  Eその他
  (45)先生は夏休みにどこへ行くつもりでいらっしゃいますか。(手紙文)
  丁寧度の度合が不統一の誤り。「どこ」=>「どちら」
  “つもり”という語は相手の心理に関するので使うべきでないが使った誤り。
  「つもりでいらっしゃいます」=>「いらっしゃいます」
  (46)先生に会う日をずっとお待ちしています。(手紙文)
  丁寧度が一致しない誤り。「会う」=>「お会いする」
  (47)もし先生はアルバイトのことがあれば、ご紹介になっていただきます。(手紙文)
  話し手の視点に立った述べ方になっていない誤り。「ご紹介になっていただきます」=>「ご紹介ください」
  (48)先生にはお体を注意してよろしいでしょうか。(手紙文)
  「注意してよろしいでしょうか」は許可を求める内容の場合に使う表現で、例の場合の表現でない。「注意してよろしいでしょうか」=>「注意してください」
  その他にかかわる誤用は
  ①丁寧度が一致しない誤り。例(45)「どこ」=>「どちら」、例(46)「会う」=>「お会いする」
  ②受給表現の不適切。例(47)「ご紹介になっていただきます」=>「ご紹介ください」、例(48)「注意してよろしいでしょうか」=>「注意してください」
  である。
  第三節中国人日本語学習者の敬語の誤用のまとめ
  本節では誤用を語形、機能、適用、母語干渉とその他の五つの面からまとめた。
  A語形にかかわる誤用では誤用例から中国人日本語学習者は、例(1)「お決意」=>「ご決意」のような「お」+“和語”、「御」+“漢語”の使い分けができていないため生じた誤り。例(10)(「指導」=>「ご指導」)のような「お/ご」を使うべき所を使っていない誤用。「お」を付けられない所につけた誤用。謙譲語「申し上げる」「伺う」等、尊敬語「なさる」「いらっしゃる」等をうまく使えない生じた誤用。「~ていただく」「~てください」のような受給表現がないため生じた誤用であることが分かった。(【注】恩恵授受表現について佐治氏は(1992)では「中国語では利益の授受の認定を日本語がするようには表現しない。そこで、受給表現と敬語のむすびついたものが中国人にとってはもっとも難しい。」と述べている。)
  B機能にかかわる誤用は尊敬語と謙譲語の混同で生じた誤用である。尊敬語を使うべき所に謙譲語を使った誤用。例(25)「招いていただいて…」=>「招いて下さって…」等。謙譲語を使うべき所に尊敬語を使った誤用。例(28)「お迎えになっていたい」=>「お迎えしたい」等。機能にかかわる誤用は尊敬語、謙譲語の機能を十分理解できないため起こした誤用であることが分かった。
  C適用にかかわる誤用例を分析して、丁寧語「ます」を使うべきでない所に使った誤用、身内を高める誤り、親族語を呼びかけ語にした誤用であることが分かった。親族語を呼びかけ語にした誤用は、例(32)(「父」=>「お父さん」)、例(33)(「父」=>「お父さん」)、例(35)(「父」=>「お父さん」)、例(34)(「両親」=>「ご両親」)生じる原因は日常生活では中國人は身内かどうか問わないで、年配の人に対して尊敬語か謙譲語を使うのは一般常識であり、誤用とは考えられない。自分の家族を言う時でも、また他人の父のことを言う場合でもすべて同じ「父」が使えるのであることが分かった。
  D母語干渉にかかわる誤用はまとめると、語彙の誤りと句順の問題である。語彙の誤りは例(36)「言います」=>「おっしゃいます」のような述語動詞は中国語は敬辞で現われないが日本語は敬語で現われるため生じた誤用。例(38)「ご一家」=>「ご家族」のような中国語名詞をそのまま使った誤り。例(43)「ご身」=>「お体」“身体”という語彙の前の“身”を取って作った生じた誤用のような語彙の誤りである。句順の問題は言語習慣に従って日本語表現を干渉した起こった誤用であることが分かった。
  Eその他は、数少ないが丁寧度が不一致と受給表現の不適切で生じた誤用例が現れた。
  おわりに
  本論は三節にわたって、中国人日本語学習者の敬語の誤用を試みてきた。全体をまだ解決していない問題を残している。
  ①中国の日本語教育の中の敬語教育の現状が詳しく調査できない。
  ②非日本語専攻の学生の手紙文例文がまだ少ないが、日本語専攻の学生の手紙文例も取ってなかった。
  ③敬語誤用についてのアンケート調査がしてなかったので、手に入れた誤用例の数も少ないし用例を書いた学生の日本語学習の年数も詳しく分からなかった。
  ④①②③のような不十分な点があり、敬語誤用を起こさないような注意方法の探求がまだ行っていなかった。
  以上四つの点については、今後続けて検討する課題にしたいと思う。
  
  参考文献
  [1] 井上史雄.『敬語は怖くない』,講談社現代新書,1999.
  [3] 漢語大詞典編集委員会?漢語大詞典編集処.編集『漢語大詞典』12巻.中国漢語大詞典出版社,1986~1993.
  [4] 菊地康人.『敬語』.講談社学術文庫,1999.
  [5] 菊地康人.『朝倉日本語講座⑧敬語』.朝倉書店,2003.
  [6]国際交流研究所(大森和夫、弘子).『中国1万2967人に聞きました』日本僑報,2002.
  [7] 佐治圭三.『日本語の表現の研究』.ひつじ書房,1992.
  [8] 中国社会科学院語言研究所詞典編集室編.『現代漢語詞典』.商務印書館,1996.
  [9] 辻村敏樹.『現在の敬語』.共文社,1967.
  [10]辻村敏樹.『敬語論考』.明治書院,1992.
  [11]南不二男(ほか)『敬語』.巖波書店,1977.はじめに
  日本語を学ぼうとすれば、それはまず異文化の未知の世界への旅たちであるので様々な衝突に会うことを覚悟しなければならない。学ぶ際よりも実際の会話に使おうとする時こそ誤用が起こる。例えば、習いかけた日本語で表現したい事柄の真意さえも正しく伝えられないので問題が発生する。それから、ある事柄を表現できたとしても、文化的なタブーを犯すとか文法や語彙などの問題も多々ある。筆者は大学を卒業してから今までずっと日本語教師をしている。教育現場から日本語学習者にとっては敬語の勉強が難しい点であると実感した。特に会話や文章を書くとき、尊敬語、謙譲語、丁寧語を誤用することがある。自分自身も知識不足でよくこの問題に悩まされている。本論で誤用例を挙げながら、敬語の誤用の研究に力を入れようと思う。もし本論を通して敬語の誤用の問題点を解明して克服する方法を見つけられれば中国日本語教育事業と日本語学習者の敬語習得に役立つのではないだろうか。こんなことをきっかけにして本論を試みようと決めた。
  第一節誤用例の収集状況について
  中国人日本語学習者の敬語の誤用状況は主に以下の著作と課題作文の誤用例により、行うことにする。
  (一)佐治圭三『日本語の表現の研究』(1992)の「中国人学習者の間違えやすい敬語表現」の誤用例
  (二)2003年度の『課題研究』に報告されたレポートを資料として
  ①汪鉄萍『課題研究の研究生報告レポート』(2003、2)「中国の大学における日本語の作文指導法について」の中国黒龍江省チチハル大学の非日本語専攻学生の作文(母への手紙、両親への手紙)からの敬語に関する誤用例
  ②汪鉄萍『課題研究のレポート』「中国人日本語学習者の手紙文における配慮表現」(2003、11)の敬語に関する誤用例
  取り上げた誤用例は違う著作と作文から集めてきたので、書き手の背景と職業も当然異なるのである。まとめて整理すると、(一)佐治圭三(1992)「中国人学習者の間違えやすい敬語表現」からできた誤用例の書き手は殆ど中国における日本語教師或いは大学を卒業して、教師になったばかりの日本語教育者である。(二)2003年度の『課題研究』に報告されたレポートの資料は次のとおりである。①汪鉄萍(2003、2)「中国の大学における日本語の作文指導法について」の中の中国黒龍江省チチハル大学の非日本語専攻学生の作文(母への手紙、両親への手紙)からの敬語に関する誤用例。②汪鉄萍(2003、11)「中国人日本語学習者の手紙文における配慮表現」の敬語に関する誤用例は2002年中国遼寧師範大学に在学していた中国人日本語学習者2、3年生(2年生漢民族63人、朝鮮族23人、大学3年生30人)と、2001年度福岡教育大学中国人留学生(10人)、後者はいずれも日本語学習歴が6年以上のものである。
  第二節誤用例の考察と分析
  筆者は佐治圭三(1992)の誤用例と2003年度汪鉄萍『課題研究』レポートの約130部の手紙文の敬語の誤用例を菊地康人(2003)の観点に従って語形、機能、適用にかかわる誤用に分けて検討したいと思う。佐治圭三(1992)の誤用例は(佐治圭三1992)と表し、汪鉄萍の「課題研究」レポートの誤用例は(手紙)と表した。
  A語形にかかわる誤用
  (1)貴方の考えが決めれば、お決意を知らせてください。(佐治圭三1992)
  「お/ご」使い分けの誤り。「お決意」=>「ご決意」
  (2)ずっとご手紙を書いていないから、申し訳ございません。(手紙文)
  「お/ご」使い分けの誤り。「ご手紙」=>「お手紙」
  (3)ご協力願いいたします。(佐治圭三1992)
  謙譲語適用の誤り。「願いいたします」=>「お願いいたします」
  (4)先生に二年ぶりに目にかかりませんでした。今、先生はお忙しいでいらっしゃいませんか。(手紙文)
  謙譲語の適用の誤り。「目にかかりませんでした」=>「お目にかかりませんでした」
  (5)この夏休み、先生に伺いたいと思います。先生のことで頭いっぱいです。先生に目にかかる時、ご期待させていただきます。(手紙文)
  謙譲語適用の誤り。「目にかかる」=>「お目にかかる」、
  (6)先生は忙しいでいらっしゃいますか。(手紙文)
  「お」を使うべき所を使っていない誤り。「忙しい」=>「お忙しい」
  (7)今、盛夏になりました。天気がとても熱いですから、先生がお過ごしいかがでしょうか。体に気を付けていただきます。(手紙文)
  美化語「お体」を使う所を普通用語の「体」で表した誤り。
  (8)先生、仕事がお忙しいでしょうか。(手紙文)
  「お」を使うべき所を使っていない誤り。「仕事」=>「お仕事」
  (9)私はきった(―>と)努力して、先生の期待に添います。(手紙文)
  「ご」を使うべき所を使っていない誤り。「期待」=>「ご期待」
  (10)成績が出てくると、先生に報告します。お先生の指導をきっと忘れません。(手紙文)
  「お」を付けられない所に付けた誤り。「お先生」=>「先生」、
  「ご」を使うべき所を使っていない誤り。「指導」=>「ご指導」
  (11)父はお元気ですか。こちらは天気がよくなりました。お古里はいかがでしょうか。(次段落に)父はお元気でいらっしゃいますか、おかげさまで私は元気です。(手紙文)
  「お」を付けられない所に付けた誤り。「お古里」=>「古里」
  (12)だいぶ暖かくてなっておりますが、先生にはお変わりありませんか。お伺い申し上げございます。――成績が出てくると、先生に報告します。(手紙文)
  謙譲語の語形の誤用。「お伺い申し上げございます」=>「お伺い申し上げます」
  (13)今、盛夏になりました。天気がとても熱いですから、先生がお過ごしいかがでしょうか。体に気を付けていただきます。(手紙文)
  語順の誤り。「お過ごしいかがでしょうか」=>「いかがお過ごしでしょうか」、謙譲語の誤り「付けていただきます」=>「付けてください」とすべきである。
  (14)先週先生から参考教材をもらいました。わざわざお送るのはありがとうございました。(手紙文)
  謙譲語語形の誤り。「お送る」=>「お送りいただいて」
  (15)私は古里に帰ります。その時先生にお伺いと存じます。先生の健康をお祈りします。(手紙文)
  謙譲語語形の誤り。「お伺い」=>「お伺いしたい」
  (16)真夏中でお體にお大事になってください。夏休みにお目にかかっております。(手紙文)
  尊敬語「なさって」が「なって」になる誤用。「なって」=>「なさって」
  (17)先生、作文についての本はどれがいいとお思いになりますか。先生はそのような本をお持ったら、貸していただきませんか。(手紙文)
  尊敬語の語形の誤り。「お持ったら」=>「お持ちになったら」
  (18)父はお元気でお過ごしてください。春のかわり目ですから、お体を大切してください。(手紙文)
  尊敬語語形の誤り。「お過ごしてください」=>「お過ごしください」
  (19)先生に二年ぶりに目にかかりませんでした。今、先生はお忙しいでいらっしゃいませんか。(手紙文)
  尊敬語の語形の誤り、「お忙しいでいらっしゃいませんか」=>「お忙しくていらっしゃいませんか」
  (20)先生は忙しいでいらっしゃいますか。(手紙文)
  「忙しいでいらっしゃいます」の語形の誤り。「忙しいでいらっしゃいます」=>「お忙しくていらっしゃいます」
  
  (21)この夏休み、先生に伺いたいと思います。先生のことで頭いっぱいです。先生に目にかかる時、ご期待させていただきます。(手紙文)
  「期待」という語の使い方の誤り。「ご期待させていただきます」=>「楽しみにしております」
  (22)夏休みは先生にお見舞いします。心から先生のお元気とお祈りします。(手紙文)
  「お元気」という語の使い方の誤り。「お元気」=>「ご健康」
  (23)中国での授業の事を心からお知りしたいと思います。(手紙文)
  謙譲語語彙の誤用。「お知りしたい」=>「存じ上げたい」
  以上の語形にかかわる誤用例文の分析を通して誤用をまとめている。
  1)「お/ご」使い分けの誤り。
  「お」+和語、「御」+漢語の使い分けが出来ていないため生じた誤り。例(1)「お決意」=>「ご決意」例(2)「ご手紙」=>「お手紙」
  「お/ご」を使うべき所を使っていない誤用。例(3)~例(9)、例(10)(「指導」=>「ご指導」)
  「お」を付けられない所につけた誤用。例⑩(「お先生」=>「先生」)、例?「お古里」=>「古里」
  (2)謙譲語語形の誤り。例(12)「お伺い申し上げございます」=>「お伺い申し上げます」、例(13)(「付けていただきます」=>「付けてください」)、例(14)「お送る」=>「お送りいただいて」、例(15)「お伺い」=>「お伺いしたい」
  3)尊敬語語形の誤り。例(16)「なって」=>「なさって」、例(17)「お持ったら」=>「お持ちになったら」、例(18)「お過ごしてください」=>「お過ごしください」、例(19)「お忙しいでいらっしゃいませんか」=>「お忙しくていらっしゃいませんか」、例(20)(「忙しいでいらっしゃいます」=>「忙しくていらっしゃいます」)
  4)語彙の使い方の誤り。例(21)「ご期待させていただきます」=>「楽しみにしております」、例(22)「お元気」=>「ご健康」、例(23)「お知りしたい」=>「存じ上げたい」
  5)語順の誤り。例(13)(「お過ごしいかがでしょうか」=>「いかがお過ごしでしょうか」)
  誤用例から中国人日本語学習者は敬語接頭辞「お/ご」の使い分けが分からないで起こった誤用。謙譲語「申し上げる」「伺う」等、尊敬語「なさる」「いらっしゃる」等をうまく使えない生じた誤用。「~ていただく」「~てください」のような受給表現がないため生じた誤用であることが分かった。(【注】恩恵授受表現について佐治氏は(1992)では「中国語では利益の授受の認定を日本語がするようには表現しない。そこで、受給表現と敬語のむすびついたものが中国人にとってはもっとも難しい。」と述べている。)
  B機能にかかわる誤用
  (24)お宿りするところは、家の学校の専家楼にしょう(ママ)と思いましたが。(佐治圭三1992)
  謙譲語、尊敬語の使い分け混同の誤り。「お宿りする」=>「お宿りになる」
  (25)外務省が私たちを招いていただいて(佐治圭三1992)
  謙譲語、尊敬語の使い分けの誤り。「招いていただいて???」=>「招いて下さって???」
  (26)先生、ご心配しないでください。(手紙文)
  尊敬語で表すべき所に謙譲語を使った誤り。「ご心配しない」=>「ご心配なさらない」
  (27)では、誰をお待ち合しますか。(佐治圭三1992)
  謙譲語と尊敬語の機能を十分理解できない誤り。「お待ち合します」=>「お待ち合になります」
  (28)私は空港まで先生をお迎えになっていたいと思います。(手紙文)
  謙譲語A機能の誤り。「お迎えになっていたい」=>「お迎えしたい」
  機能にかかわる誤用例は
  尊敬語と謙譲語の混同。
  1)尊敬語を使うべき所に謙譲語を使った誤用。例(24)「お宿りする」=>「お宿りになる」、例(25)「招いていただいて…」=>「招いて下さって…」、例(26)「ご心配しない」=>「ご心配なさらない」、例(27)「お待ち合します」=>「お待ち合になります」
  2)謙譲語を使うべき所に尊敬語を使った誤用。例(28)「お迎えになっていたい」=>「お迎えしたい」
  である。尊敬語、謙譲語の機能を十分理解できないため起こした誤用であることが分かった。
  C適用にかかわる誤用
  (29)ご身に気をつけてくださいます。心からご健康お祈りいたします。(手紙文)
  丁寧語「ます」を使うべきでない所に使った誤用。「気をつけてくださいます」=>「気をつけてください」
  (30)先生、ご体をお気を付けて下さいます。(手紙文)
  丁寧語の「ます」を使うべきでない所に使った誤用。「お気を付けて下さいます」=>「お気をつけてください」
  (31)勿論、父は、外国へ勉強に行く息子のことを心配しておられると思う。(佐治圭三1992)
  身内を高める誤り。「心配しておられる」=>「心配していてくれる」
  以下の例(32)~(35)は家族外に対して使うべき「父」「両親」を家族に対して使った誤用。
  (32)父はお元気でお過ごしてください。春のかわり目ですから、お体を大切してください。(手紙文)
  「父」=>「お父さん」
  (33)父はお元気ですか。こちらは天気がよくなりました。お古里はいかがでしょうか。(次段落に)父はお元気でいらっしゃいますか、おかげさまで私は元気です。(手紙文)
  「父」=>「お父さん」
  (34)両親はお元気でいらっしゃいますか。おかげさまで私も元気に勉強しています。(手紙文)
  「両親」=>「ご両親」
  (35)父はお元気でいらっしゃいますか、おかげさまで私は元気です。(手紙文)
  「父」=>「お父さん」
  上述適用にかかわる誤用例はまとめたら
  1)丁寧語「ます」を使うべきでない所に使った誤用。例(29)(「気をつけてくださいます」=>「気をつけてください」)、例(30)(「お気を付けて下さいます」=>「お気をつけてください」)
  2)身内を高める誤り。例(31)(「心配しておられる」=>「心配していてくれる」)
  3)親族語を呼びかけ語にした誤用。例(32)(「父」=>「お父さん」)、例(33)(「父」=>「お父さん」)、例(35)(「父」=>「お父さん」)、例(34)(「両親」=>「ご両親」)
  ここで特に説明したいのは日常生活では中国人は身内かどうか問わないで、年配の人に対して尊敬語か謙譲語を使うのは一般常識であり、誤用とは考えられない。自分の家族を言う時でも、また他人の父のことを言う場合でもすべて同じ「父」が使える。
  D母語干渉にかかわる誤用
  菊地康人(2003)の三つの観点以外の語用として母語干渉にかかわる次のような誤用があった。
  (36)先生は「~」といつも私に言います。(手紙文)
  尊敬語を使うべき相手に使っていない誤用。「言います」=>「おっしゃいます」
  (37)今まで先生は言った「勉強ということは終わりがない」という話が理解できました。(手紙文)
  尊敬語を使うべき相手に使っていない誤用。「言った」=>「おっしゃった」
  (38)ご一家によろしくお伝えください。お元気と祈ります(ママ)。(手紙文)
  中国語の「一家」をそのまま使った誤り。「ご一家」=>「ご家族」
  (39)中学時代のいろいろな関心にはどうもありがとうございました。(手紙文)
  「心使い」の意味が中国語で「関心」というので、それをそのまま使った
  誤り。「関心には」=>「心使い」
  (40)先生はお元気でしょう。先生は毎⒁猡筏皮坤丹ぁ#ㄊ旨埼模?中国語中国語「身体」、「注意」をそのまま使った誤用。「お身体」=>「お体」、「注意してください」=>「気をつけてください」
  (41)お体を大切にして、お元気でお過ごしください。ご安心ください(手紙の締めくくりに)。(手紙文)
  前半「お体を大切にして、お元気でお過ごしください。」と後半「ご安心ください」の話題の対象が一致していない誤用。
  (42)先生ご多忙でいらっしゃいますか。お元気でいらっしゃいますか。(冒頭に)(手紙文)
  句の順序の誤り。中国語だったら、“最近忙吗?身体好吗?”というので、それをそのまま訳した。
  (43)ご身に気をつけてくださいます。心からご健康お祈りいたします。(手紙文)語彙の誤り。「ご身」=>「お体」
  (44)先生、ご体をお気を付けて下さいます。(手紙文)
  語彙の誤り。「ご体」=>「お体」、
  上述の母語干渉にかかわる誤用は、
  ①語彙の誤り。
  ⅰ述語動詞は中国語は敬辞で現われないが日本語は敬語で現われるため生じた誤用。例(36)「言います」=>「おっしゃいます」、例(37)「言った」=>「おっしゃった」
  ⅱ中国語名詞をそのまま使った誤り。例(38)「ご一家」=>「ご家族」、例(39)「関心には」=>「心使い」、例(40)「お身体」=>「お体」、「注意してください」=>「気をつけてください」
  ⅱ語彙の誤り。例(43)「ご身」=>「お体」、例(44)「ご体」=>「お体」“身体”という語彙の前の“身”を取って“ご身”を作って、後ろの“体”を取って“ご体”を作った生じた誤用。
  ②句順の問題。例(41)、例(42)言語習慣に従って日本語表現を干渉した起こった誤用。
  Eその他
  (45)先生は夏休みにどこへ行くつもりでいらっしゃいますか。(手紙文)
  丁寧度の度合が不統一の誤り。「どこ」=>「どちら」
  “つもり”という語は相手の心理に関するので使うべきでないが使った誤り。
  「つもりでいらっしゃいます」=>「いらっしゃいます」
  (46)先生に会う日をずっとお待ちしています。(手紙文)
  丁寧度が一致しない誤り。「会う」=>「お会いする」
  (47)もし先生はアルバイトのことがあれば、ご紹介になっていただきます。(手紙文)
  話し手の視点に立った述べ方になっていない誤り。「ご紹介になっていただきます」=>「ご紹介ください」
  (48)先生にはお体を注意してよろしいでしょうか。(手紙文)
  「注意してよろしいでしょうか」は許可を求める内容の場合に使う表現で、例の場合の表現でない。「注意してよろしいでしょうか」=>「注意してください」
  その他にかかわる誤用は
  ①丁寧度が一致しない誤り。例(45)「どこ」=>「どちら」、例(46)「会う」=>「お会いする」
  ②受給表現の不適切。例(47)「ご紹介になっていただきます」=>「ご紹介ください」、例(48)「注意してよろしいでしょうか」=>「注意してください」
  である。
  第三節中国人日本語学習者の敬語の誤用のまとめ
  本節では誤用を語形、機能、適用、母語干渉とその他の五つの面からまとめた。
  A語形にかかわる誤用では誤用例から中国人日本語学習者は、例(1)「お決意」=>「ご決意」のような「お」+“和語”、「御」+“漢語”の使い分けができていないため生じた誤り。例(10)(「指導」=>「ご指導」)のような「お/ご」を使うべき所を使っていない誤用。「お」を付けられない所につけた誤用。謙譲語「申し上げる」「伺う」等、尊敬語「なさる」「いらっしゃる」等をうまく使えない生じた誤用。「~ていただく」「~てください」のような受給表現がないため生じた誤用であることが分かった。(【注】恩恵授受表現について佐治氏は(1992)では「中国語では利益の授受の認定を日本語がするようには表現しない。そこで、受給表現と敬語のむすびついたものが中国人にとってはもっとも難しい。」と述べている。)
  B機能にかかわる誤用は尊敬語と謙譲語の混同で生じた誤用である。尊敬語を使うべき所に謙譲語を使った誤用。例(25)「招いていただいて…」=>「招いて下さって…」等。謙譲語を使うべき所に尊敬語を使った誤用。例(28)「お迎えになっていたい」=>「お迎えしたい」等。機能にかかわる誤用は尊敬語、謙譲語の機能を十分理解できないため起こした誤用であることが分かった。
  C適用にかかわる誤用例を分析して、丁寧語「ます」を使うべきでない所に使った誤用、身内を高める誤り、親族語を呼びかけ語にした誤用であることが分かった。親族語を呼びかけ語にした誤用は、例(32)(「父」=>「お父さん」)、例(33)(「父」=>「お父さん」)、例(35)(「父」=>「お父さん」)、例(34)(「両親」=>「ご両親」)生じる原因は日常生活では中国人は身内かどうか問わないで、年配の人に対して尊敬語か謙譲語を使うのは一般常識であり、誤用とは考えられない。自分の家族を言う時でも、また他人の父のことを言う場合でもすべて同じ「父」が使えるのであることが分かった。
  D母語干渉にかかわる誤用はまとめると、語彙の誤りと句順の問題である。語彙の誤りは例(36)「言います」=>「おっしゃいます」のような述語動詞は中国語は敬辞で現われないが日本語は敬語で現われるため生じた誤用。例(38)「ご一家」=>「ご家族」のような中国語名詞をそのまま使った誤り。例(43)「ご身」=>「お体」“身体”という語彙の前の“身”を取って作った生じた誤用のような語彙の誤りである。句順の問題は言語習慣に従って日本語表現を干渉した起こった誤用であることが分かった。
  Eその他は、数少ないが丁寧度が不一致と受給表現の不適切で生じた誤用例が現れた。
  おわりに
  本論は三節にわたって、中国人日本語学習者の敬語の誤用を試みてきた。全体をまだ解決していない問題を残している。
  ①中国の日本語教育の中の敬語教育の現状が詳しく調査できない。
  ②非日本語専攻の学生の手紙文例文がまだ少ないが、日本語専攻の学生の手紙文例も取ってなかった。
  ③敬語誤用についてのアンケート調査がしてなかったので、手に入れた誤用例の数も少ないし用例を書いた学生の日本語学習の年数も詳しく分からなかった。
  ④①②③のような不十分な点があり、敬語誤用を起こさないような注意方法の探求がまだ行っていなかった。
  以上四つの点については、今後続けて検討する課題にしたいと思う。
  
  参考文献
  [1] 井上史雄.『敬語は怖くない』,講談社現代新書,1999.
  [3] 漢語大詞典編集委員会?漢語大詞典編集処.編集『漢語大詞典』12巻.中国漢語大詞典出版社,1986~1993.
  [4] 菊地康人.『敬語』.講談社学術文庫,1999.
  [5] 菊地康人.『朝倉日本語講座⑧敬語』.朝倉書店,2003.
  [6]国際交流研究所(大森和夫、弘子).『中国1万2967人に聞きました』日本僑報,2002.
  [7] 佐治圭三.『日本語の表現の研究』.ひつじ書房,1992.
  [8] 中国社会科学院語言研究所詞典編集室編.『現代漢語詞典』.商務印書館,1996.
  [9] 辻村敏樹.『現在の敬語』.共文社,1967.
  [10]辻村敏樹.『敬語論考』.明治書院,1992.
  [11]南不二男(ほか)『敬語』.巖波書店,1977.
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