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芥川龍之介は「実人生の赤裸々な告白を重視する自然主義を否定して文壇に登場し、実生活の秩序とは無縁な場所に、華麗な虚構の花を咲かせた作家である」と言われている。恐らく、彼が虚構な世界を通して、自分が実世界を評価する「余裕」があることを示したかっただろう。しかし、晩年の一連の作品になると、芥川が虚構的な態度を捨てて、自伝的な作風が見られる。彼はわざとその「余裕」を捨てるのか、それとも仕方が無くそれを失ったのか。それについて、本論文が探求したいと思う。