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1.はじめに
藤本敏之は『日米における呼称語の比較』の中で、「日本語の呼称体系を概観して気づくことは、日本語が社会的目上、目下の関係を重視していることである。つまり、一般に親族名称や職業、地位名称は、上位者に対する対称詞、あるいは上位者が用いる自称詞として、また固有名詞や人称名詞は、対等者及び下位者に対する対称詞、あるいは対等者及び下位者が用いる自称詞として、整然と位置づけられている。これは日本におけるいわゆるタテ型社会を反映しているように思える」と書いた。確かに、中国語に比べて日本語のほうは呼称語がかなり複雑だということは周知のことであろう。さらに、日本語の呼称語はどのように使用するか、その差異を引き起こす文化根源は何かなどの問題点は解決しなければならない。本稿は対称詞を例として、日本語における対称詞を中心に、その定義と分類及び社会文化からの影響などに対する分析を通して、対称詞の使用実態を考察し、日本の社会文化、価値観、思惟方式は言語使用に対する影響を指摘しようと思う。
2.対称詞の定義と分類
対称詞とは、鈴木(1973)によると、「話の相手に言及することばの総称」(146)である。田窪行則は『日本語における人称表現』において人称を表すことができることばは「人称詞」と称し、対話相手を指して使う語としては、「お父さん、おばあちゃん」のような親族名称を表す語や「先生、親分」のような上下関係を表す語や「社長、課長」などの職階を表す語を用いる。しかし、話し相手を表す「君、あなた」のような語類と、「お父さん、課長」などの、本来、定記述である名詞類とはかなり違った振る舞いをする。だから、対称詞は人称代名詞、固有名詞、定記述といった三つの部分に分けると出張する。
日本語における対称詞について例を挙げて確認したい。
(1)君はどう思いますか。
(2)先輩だったら絶対に問題ないでしょう。
(3)園子ちゃんはどうしたいの?
日本語には、人称を表す語が多く存在する。聞き手を表す語としては例えば「あなた、君、おまえ、きさま」などがある。文(1)はその例である。これは聞き手を直接指し、その場の状況によって指す対象が変化するので直示的である。直示的、つまりダイクティックであることにおいては、代名詞的振る舞いを見せるといる。
文(2)は定記述が対称詞として使われている例である。「お父さん」などの親族名称、「先輩」などの上下関係を表す語、「社長」などの職階名称、「お医者さん」などの職業名がこれに当たる。話してにとっての「お父さん」や「先輩」が対称詞として使用されている場合、それが指す対象は確定しており、あたかも固有名詞のような働きをするのである。
最後に、固有名詞も対称詞として用いられる。『goo国語辞書』によると、固有名詞は普通名詞に対して提起される概念である。固有名詞とは、同じ種類に属する事物から一つの事物を区別するために、それのみに与えられた名称を表す語で、人名·地名·国名·書名·建造物·年号などの類を含む。ちょっと注意したいのは、文(3)は話し手でも聞き手でもない第三者についての発話の場合もありうるが、園子を聞き手とした発話の場合でもまったく問題がない。固有名詞は概念が簡単で、その実際使用も複雑ではないだから、次の部分は主に前の人称名詞と定記述をめぐり、具体的に対称詞はどのように選択し、使用するのかが一緒に検討したいのである。
2.1 人称名詞について
人称代名詞において、一番数多いのは「二人称代名詞」(つまり「対称代名詞」)である。使用方法から見ると、もっとも複雑なのも「二人称代名詞」だといえる。二人称代名詞は「あなた」「君」「あんた」「おまえ」「きさま」「おめえ」「てめえ」などを含む。話し手は対称詞を選んで声をかけるとき、相手の民族文化背景、年齢、職業、地位、身分、世代を考慮するとともに、自分との親疎関係や会話場面などの要素をも考える必要があるということは当然であろう。
2.1.1 あなた
最初に、「あなた」は『古今和歌集』や『伊勢物語』で現し、遠称の指示代名詞として遠くの場所·方·時間·人物を表していた。だが、今の言語実践では、初めて会う人には「あなた」を使うわけにはいかない。また、一般的に、自分の下位者や年下のものに対してはあまり「あなた」が使われないことに決まっている。
ところで、「あなた」はどんな場合で用いるのであろうか。
A.「あなた」は身分不明の人と公務でやり取りしているときにも使われる。例えば、「あなたのご利用をお待ちしております」「ここにあなたの名前と電話番號をご記入ください」という文の中で、「あなた」の指示対象が全部見知らぬ人であろう。その時、少し尊敬の意がも感じられる。
B.「あなた」は怒るときにも使うのが可能である。例えば、「またあなたですか、何だよ」「何やってるのよ、あなたは」はこの場合に属する。
C.「あなた」は親しい男女間で相手を呼ぶ語として、特に夫婦間で妻が夫を呼ぶ語。例えば、「あなた、もうご飯だよ」という文の中で男女間のは親しみが感じられる。
2.1.2 君
『新明解』によると、「きみ」は「(男が)同輩(以下)を親しんで指す呼び方」と解釈している。実際には、「きみ」は奈良·鎌倉時代に現れ、最初は女性から男性あるいは上位者への呼称であったが、明治時代の後半に入ってから同輩あるいは下位者に対して用いる呼称で、少し親しい感じを持つ男性用語になってきたのである。「きみ」は主に以下の場合で使える。
A.先輩から後輩に対して「きみ」を用いるとき、その上位者の位置を現れるとともに、話し手と聞き手の距離感をも軽減することができる。例えば、「君とゆっくり話したいと思っていたんだ」「励ましてあげなさいよ。君、弟でしょう」という文ができる。 B. 上司から下級に対する呼称で、上位者と下位者の位置づけ及びその格差を強く反映される。例えば、「君の首なんて、いつでも切れる」「また遅刻だよ、君」が上位者から傲慢の態度で下位者を押さえつけるのが、はっきり感じられるのではなかろうか。
C.「きみ」は男性用語としてうちの妻あるいは恋人に使うことが多いが、親友にも用いる。例えば、「君のために翼になる、君を守り続ける」「君、何やってんだよ」はそれぞれ愛人と仲間に対する話である。
2.1.3 他の二人称代名詞
「あなた」「君」の以外、現代日本語で「おまえ」「あんた」「きさま」「てめえ」など諸々の二人称代名詞が違う場合で違う役に立つ。どの代名詞を用いるのかがどんな文末表現及び待遇表現(聞き手、第三者及びシーンなどの要素を把握し、聞き手とその場合に適切することばを使うこと)をするのを決める。さらに、それら表現が代名詞と呼応し、生き生きと話し手と聞き手の地位格差と相互関係及び話雰囲気などが反映される。だから、いろいろな場合を区別して正しい代名詞を選択するのが一番重要だと言っても過言ではない。
A.『新明解』によると、「おまえ」は「目下の相手を指す、二人称のぞんざいな言い方」という意味である。例:「お前はパパの子供だよ」。こうして、「おまえ」は「きみ」よりも上下関係を重視する同時に、現代日本語で親友の間にも使うことができる。例:「お前の全てに期待しているぞ」。
B.『大辞林』によると、「あんた」は「ごく親しい人や目下の人を指し示す(近世後期には敬意をもって使われた)」と解釈する。現代日本語では、「あんた」は女性から夫への親しい呼称あるいは親友に対するマナーとする呼称である。例:「あんたもおいでよ。」
C.『大辞林』によると、「きさま」は「男性が極めて親しい同輩か目下のものに対して用いる語。また相手をののしっていうときにも用いる」と「目上の者に対して、尊敬の意を含めて用いる」という二つの意味を持つ。例えば、「きさまとおれとの仲ではないか」「きさまそれでも人間か」「きさまは留守でも判は親仁の判」という文がそれぞれ同輩への親しい感じ、軽蔑の感じ及び尊敬の意を表すのである。
2.2 定記述について
「下対上」の場合では一切二人称代名詞も用いられない。鈴木孝夫は、「現在の日本語には、目上の人に対して使える人称代名詞は存在しないといっても言い過ぎではない」と『ことばと文化』の中で言明しているが、納得のいく叙述だと考えてよかろう。つまり、日本語には話し相手に敬意を示すべき適切な人称代名詞が日常の言語生活の中では見られないといってよい。そのため、日本語で話し両方の上下関係と親族名称及び職階地位などを示す役割が一定の程度で定記述という一類対称詞に任せることになっている。これから、職場の定記述をめぐり、いくつかの場合に結びついて分析を展開したい。
2.2.1 職階が上の人に対する場合
こういう場合は年齢を考えず、日本語の場合は職名で呼ぶのは一般的である。例えば、
松下:荻原課長、おはようございます。
荻原:ああ、松下さん、おはよう。
松下:課長、さっき小耳に挟んなんですが、大阪支社へ移られるというのは本当でしょうか。
そのように、目下の人は目上の人に職名と世代序列で呼ぶのに対して、目上の人は目下の人に直接名前で呼ぶことになっている。
2.2.2 年齢の上下と職階の上下が一致している場合
同齢者と同職階の相手に対しては、男性は「姓+さん·くん」で呼んで、女性はすべて「姓+さん」で呼ぶ。名前の呼び捨てで呼ぶ人もいるが、これは公的な場合の職場に個人の親疎の尺度を持ち込むことになるので目下及び同等の相手にすべて「姓+さん·くん」で呼ぶのが一番適当な方策だと考えられる。こういう場合にも職名をあまり使わない。
2.2.3 年齢は上だが、職階は下の人に対する場合
もし会社で自分より年上の下役に名前だけで呼ぶなら、呼ばれる人には侮辱と感じられるかもしれない。こういう場合では、職名で呼ぶこともあまり少ないが、ただ言及するときに職名で呼ぶ例もある。なぜならというと、日本社会では年齢の上下を無視する言葉遣いをできるだけ使わないからであろう。
2007年に、『ハケンの品格』という連続ドラマが上映した。そのドラマの描く職場で、つねに課長は課內にいる唯一の高齢者社員のことを「小笠原さん」という。すなわち、もともと男性に対する「姓+くん」という呼び方を「姓+さん」に転換すれば、多少命令の口ぶりを軽減されるかもしれないと思う。「くん」と「さん」はここに、ちょっとニュアンスがあるともいえる。
3.対称詞選択への社会文化影響
社会は言語とともにあり、言語は社会とともにある。それゆえ、日本語も日本の社会によって作られ、日本独自の社会的な性格を有している。
日本語には数多い人称代名詞があり、多様な表現形式が存在し、それゆえ対人関係を背景にした微妙なニュアンスをそこに配置できる。日本語の持つ豊かな言語表現が、日本社会の発展やあり方に深くかかわっていることも明白である。二人称代名詞を例をして考えると、そういう関係がすぐわかる。現代日本語では、あまり「あなた」「きみ」などの二人称代名詞を使われないともいえる。なぜならといえば、話し手と聞き手の日本人は一定の距離感を保ち慣れるからである。つまり、相手に対する直接過ぎる呼称などの不自然な表現をできるだけ免れ、対話両方の上下位置や親疎関係及び雰囲気を考慮しながら一番いい対称詞を決める。たとえ二人称代名詞を用いる場合としても、話相手の思惟方式をも考えて適切な代名詞を選んでくれるのが一般的である。 また、日本人は序列意識が非常に強くて、同僚との連帯意識は極めて低調で、その代わり部長、課長、主任、係長、一般社員という驚くべき「タテ」の関係によって結びつけられている。「日本社会における人間関係の強弱は実際の長さ、激しさに比例しがちである。そして、この要素こそが往々にして、集団における個人の位置づけを決定する重要な要因となっているのである」一人が會社に入ってからの年数というものがその集団内における個人の位置、発言権、権力行使に大きく影響しているのが常である。だからこそ、同僚の間でも年齢差、在社暦に応じて異なった対称詞を使うのもおかしくないであろう。
4.おわりに
対称詞はひとつの民族の文化習慣や民族言語規範を表す言語行為であると同時に、人々が日常生活の中で、お互いに付き合っている信号やかけ橋でもある。本稿は言語環境と社会環境を背景にして、対称詞の定義と分類を考察し、二人称代名詞及び定記述に対して細かく分析する上、日本語における対称詞の使用の社会文化背景を探究してみた。
本稿は意味特徴や使用規範において各種の対称詞に対する考察を通して、二人称代名詞と定記述にかかわる呼称表現を整えた。まず、現代日本語では、数多くの二人称代名詞が存在するが、日常会話の中であまり使えないという面白い点がある。それは、話し手と聞き手の日本人は一定の距離感を保つのに慣れるからである。そこで対称代名詞が相手に対する直接過ぎる呼称として、不自然な表現と思われ、できるだけ免れがちである。第二、日本人は序列意識が強くて、部長、課長、主任、係長、一般社員という驚くべき「タテ」の関係によって結びつけられている。一人が会社に入ってからの年数というものがその集団内における個人の位置、権利行使などに大きく影響している。それを背景にして、同僚の間でもそれぞれの資格によって異なった対称詞を使うのは理解しやすいであろう。話し手は両方の上下位置や親疎関係及び雰囲気を考慮しながら一番適切な対称詞を決める。
参考文献:
[1]崔利梅.中日両国語における呼称語の比較研究[D].山东师范大学,2007.
[2]田窪行則.「日本語の人称表現』『視点と言語行動』[J].くろしお出版,1997.
[3]鈴木孝夫,『ことばと文化』,岩波新書,1973
[4]中根千枝,『タテ社会の人間関係』,講談社現代新書,1967
[5]油井恵,日本語および英語における対称詞の機能:ポライトネスと関連性
[6]王冰菁,会話文における対称詞の使用についての日中対照考察
[7]赵淑玲.日本語の人称代名詞に関する一考察――中国語との対照の見地から
[8]杨睿智,小议第二人称代名词在现代日语中的使用[J].科技信息.2009(32).
[9]陈俊森.日语人称代名词在交际中运用的两个问题[J].外语研究,1999(3).
[10]于学英,对日语对称代名词的浅析[J]外语交流,2014(7).
[11]芦立军.日语指示代词所体现的“内外意识”——以代名词为中心[J].日语知识,2010(7).
作者简介:
谢梓飞(1991.12.30—),男,汉族,解放军战略支援部队信息工程大学洛阳校区在读硕士研究生,专业:日语语言文学。
藤本敏之は『日米における呼称語の比較』の中で、「日本語の呼称体系を概観して気づくことは、日本語が社会的目上、目下の関係を重視していることである。つまり、一般に親族名称や職業、地位名称は、上位者に対する対称詞、あるいは上位者が用いる自称詞として、また固有名詞や人称名詞は、対等者及び下位者に対する対称詞、あるいは対等者及び下位者が用いる自称詞として、整然と位置づけられている。これは日本におけるいわゆるタテ型社会を反映しているように思える」と書いた。確かに、中国語に比べて日本語のほうは呼称語がかなり複雑だということは周知のことであろう。さらに、日本語の呼称語はどのように使用するか、その差異を引き起こす文化根源は何かなどの問題点は解決しなければならない。本稿は対称詞を例として、日本語における対称詞を中心に、その定義と分類及び社会文化からの影響などに対する分析を通して、対称詞の使用実態を考察し、日本の社会文化、価値観、思惟方式は言語使用に対する影響を指摘しようと思う。
2.対称詞の定義と分類
対称詞とは、鈴木(1973)によると、「話の相手に言及することばの総称」(146)である。田窪行則は『日本語における人称表現』において人称を表すことができることばは「人称詞」と称し、対話相手を指して使う語としては、「お父さん、おばあちゃん」のような親族名称を表す語や「先生、親分」のような上下関係を表す語や「社長、課長」などの職階を表す語を用いる。しかし、話し相手を表す「君、あなた」のような語類と、「お父さん、課長」などの、本来、定記述である名詞類とはかなり違った振る舞いをする。だから、対称詞は人称代名詞、固有名詞、定記述といった三つの部分に分けると出張する。
日本語における対称詞について例を挙げて確認したい。
(1)君はどう思いますか。
(2)先輩だったら絶対に問題ないでしょう。
(3)園子ちゃんはどうしたいの?
日本語には、人称を表す語が多く存在する。聞き手を表す語としては例えば「あなた、君、おまえ、きさま」などがある。文(1)はその例である。これは聞き手を直接指し、その場の状況によって指す対象が変化するので直示的である。直示的、つまりダイクティックであることにおいては、代名詞的振る舞いを見せるといる。
文(2)は定記述が対称詞として使われている例である。「お父さん」などの親族名称、「先輩」などの上下関係を表す語、「社長」などの職階名称、「お医者さん」などの職業名がこれに当たる。話してにとっての「お父さん」や「先輩」が対称詞として使用されている場合、それが指す対象は確定しており、あたかも固有名詞のような働きをするのである。
最後に、固有名詞も対称詞として用いられる。『goo国語辞書』によると、固有名詞は普通名詞に対して提起される概念である。固有名詞とは、同じ種類に属する事物から一つの事物を区別するために、それのみに与えられた名称を表す語で、人名·地名·国名·書名·建造物·年号などの類を含む。ちょっと注意したいのは、文(3)は話し手でも聞き手でもない第三者についての発話の場合もありうるが、園子を聞き手とした発話の場合でもまったく問題がない。固有名詞は概念が簡単で、その実際使用も複雑ではないだから、次の部分は主に前の人称名詞と定記述をめぐり、具体的に対称詞はどのように選択し、使用するのかが一緒に検討したいのである。
2.1 人称名詞について
人称代名詞において、一番数多いのは「二人称代名詞」(つまり「対称代名詞」)である。使用方法から見ると、もっとも複雑なのも「二人称代名詞」だといえる。二人称代名詞は「あなた」「君」「あんた」「おまえ」「きさま」「おめえ」「てめえ」などを含む。話し手は対称詞を選んで声をかけるとき、相手の民族文化背景、年齢、職業、地位、身分、世代を考慮するとともに、自分との親疎関係や会話場面などの要素をも考える必要があるということは当然であろう。
2.1.1 あなた
最初に、「あなた」は『古今和歌集』や『伊勢物語』で現し、遠称の指示代名詞として遠くの場所·方·時間·人物を表していた。だが、今の言語実践では、初めて会う人には「あなた」を使うわけにはいかない。また、一般的に、自分の下位者や年下のものに対してはあまり「あなた」が使われないことに決まっている。
ところで、「あなた」はどんな場合で用いるのであろうか。
A.「あなた」は身分不明の人と公務でやり取りしているときにも使われる。例えば、「あなたのご利用をお待ちしております」「ここにあなたの名前と電話番號をご記入ください」という文の中で、「あなた」の指示対象が全部見知らぬ人であろう。その時、少し尊敬の意がも感じられる。
B.「あなた」は怒るときにも使うのが可能である。例えば、「またあなたですか、何だよ」「何やってるのよ、あなたは」はこの場合に属する。
C.「あなた」は親しい男女間で相手を呼ぶ語として、特に夫婦間で妻が夫を呼ぶ語。例えば、「あなた、もうご飯だよ」という文の中で男女間のは親しみが感じられる。
2.1.2 君
『新明解』によると、「きみ」は「(男が)同輩(以下)を親しんで指す呼び方」と解釈している。実際には、「きみ」は奈良·鎌倉時代に現れ、最初は女性から男性あるいは上位者への呼称であったが、明治時代の後半に入ってから同輩あるいは下位者に対して用いる呼称で、少し親しい感じを持つ男性用語になってきたのである。「きみ」は主に以下の場合で使える。
A.先輩から後輩に対して「きみ」を用いるとき、その上位者の位置を現れるとともに、話し手と聞き手の距離感をも軽減することができる。例えば、「君とゆっくり話したいと思っていたんだ」「励ましてあげなさいよ。君、弟でしょう」という文ができる。 B. 上司から下級に対する呼称で、上位者と下位者の位置づけ及びその格差を強く反映される。例えば、「君の首なんて、いつでも切れる」「また遅刻だよ、君」が上位者から傲慢の態度で下位者を押さえつけるのが、はっきり感じられるのではなかろうか。
C.「きみ」は男性用語としてうちの妻あるいは恋人に使うことが多いが、親友にも用いる。例えば、「君のために翼になる、君を守り続ける」「君、何やってんだよ」はそれぞれ愛人と仲間に対する話である。
2.1.3 他の二人称代名詞
「あなた」「君」の以外、現代日本語で「おまえ」「あんた」「きさま」「てめえ」など諸々の二人称代名詞が違う場合で違う役に立つ。どの代名詞を用いるのかがどんな文末表現及び待遇表現(聞き手、第三者及びシーンなどの要素を把握し、聞き手とその場合に適切することばを使うこと)をするのを決める。さらに、それら表現が代名詞と呼応し、生き生きと話し手と聞き手の地位格差と相互関係及び話雰囲気などが反映される。だから、いろいろな場合を区別して正しい代名詞を選択するのが一番重要だと言っても過言ではない。
A.『新明解』によると、「おまえ」は「目下の相手を指す、二人称のぞんざいな言い方」という意味である。例:「お前はパパの子供だよ」。こうして、「おまえ」は「きみ」よりも上下関係を重視する同時に、現代日本語で親友の間にも使うことができる。例:「お前の全てに期待しているぞ」。
B.『大辞林』によると、「あんた」は「ごく親しい人や目下の人を指し示す(近世後期には敬意をもって使われた)」と解釈する。現代日本語では、「あんた」は女性から夫への親しい呼称あるいは親友に対するマナーとする呼称である。例:「あんたもおいでよ。」
C.『大辞林』によると、「きさま」は「男性が極めて親しい同輩か目下のものに対して用いる語。また相手をののしっていうときにも用いる」と「目上の者に対して、尊敬の意を含めて用いる」という二つの意味を持つ。例えば、「きさまとおれとの仲ではないか」「きさまそれでも人間か」「きさまは留守でも判は親仁の判」という文がそれぞれ同輩への親しい感じ、軽蔑の感じ及び尊敬の意を表すのである。
2.2 定記述について
「下対上」の場合では一切二人称代名詞も用いられない。鈴木孝夫は、「現在の日本語には、目上の人に対して使える人称代名詞は存在しないといっても言い過ぎではない」と『ことばと文化』の中で言明しているが、納得のいく叙述だと考えてよかろう。つまり、日本語には話し相手に敬意を示すべき適切な人称代名詞が日常の言語生活の中では見られないといってよい。そのため、日本語で話し両方の上下関係と親族名称及び職階地位などを示す役割が一定の程度で定記述という一類対称詞に任せることになっている。これから、職場の定記述をめぐり、いくつかの場合に結びついて分析を展開したい。
2.2.1 職階が上の人に対する場合
こういう場合は年齢を考えず、日本語の場合は職名で呼ぶのは一般的である。例えば、
松下:荻原課長、おはようございます。
荻原:ああ、松下さん、おはよう。
松下:課長、さっき小耳に挟んなんですが、大阪支社へ移られるというのは本当でしょうか。
そのように、目下の人は目上の人に職名と世代序列で呼ぶのに対して、目上の人は目下の人に直接名前で呼ぶことになっている。
2.2.2 年齢の上下と職階の上下が一致している場合
同齢者と同職階の相手に対しては、男性は「姓+さん·くん」で呼んで、女性はすべて「姓+さん」で呼ぶ。名前の呼び捨てで呼ぶ人もいるが、これは公的な場合の職場に個人の親疎の尺度を持ち込むことになるので目下及び同等の相手にすべて「姓+さん·くん」で呼ぶのが一番適当な方策だと考えられる。こういう場合にも職名をあまり使わない。
2.2.3 年齢は上だが、職階は下の人に対する場合
もし会社で自分より年上の下役に名前だけで呼ぶなら、呼ばれる人には侮辱と感じられるかもしれない。こういう場合では、職名で呼ぶこともあまり少ないが、ただ言及するときに職名で呼ぶ例もある。なぜならというと、日本社会では年齢の上下を無視する言葉遣いをできるだけ使わないからであろう。
2007年に、『ハケンの品格』という連続ドラマが上映した。そのドラマの描く職場で、つねに課長は課內にいる唯一の高齢者社員のことを「小笠原さん」という。すなわち、もともと男性に対する「姓+くん」という呼び方を「姓+さん」に転換すれば、多少命令の口ぶりを軽減されるかもしれないと思う。「くん」と「さん」はここに、ちょっとニュアンスがあるともいえる。
3.対称詞選択への社会文化影響
社会は言語とともにあり、言語は社会とともにある。それゆえ、日本語も日本の社会によって作られ、日本独自の社会的な性格を有している。
日本語には数多い人称代名詞があり、多様な表現形式が存在し、それゆえ対人関係を背景にした微妙なニュアンスをそこに配置できる。日本語の持つ豊かな言語表現が、日本社会の発展やあり方に深くかかわっていることも明白である。二人称代名詞を例をして考えると、そういう関係がすぐわかる。現代日本語では、あまり「あなた」「きみ」などの二人称代名詞を使われないともいえる。なぜならといえば、話し手と聞き手の日本人は一定の距離感を保ち慣れるからである。つまり、相手に対する直接過ぎる呼称などの不自然な表現をできるだけ免れ、対話両方の上下位置や親疎関係及び雰囲気を考慮しながら一番いい対称詞を決める。たとえ二人称代名詞を用いる場合としても、話相手の思惟方式をも考えて適切な代名詞を選んでくれるのが一般的である。 また、日本人は序列意識が非常に強くて、同僚との連帯意識は極めて低調で、その代わり部長、課長、主任、係長、一般社員という驚くべき「タテ」の関係によって結びつけられている。「日本社会における人間関係の強弱は実際の長さ、激しさに比例しがちである。そして、この要素こそが往々にして、集団における個人の位置づけを決定する重要な要因となっているのである」一人が會社に入ってからの年数というものがその集団内における個人の位置、発言権、権力行使に大きく影響しているのが常である。だからこそ、同僚の間でも年齢差、在社暦に応じて異なった対称詞を使うのもおかしくないであろう。
4.おわりに
対称詞はひとつの民族の文化習慣や民族言語規範を表す言語行為であると同時に、人々が日常生活の中で、お互いに付き合っている信号やかけ橋でもある。本稿は言語環境と社会環境を背景にして、対称詞の定義と分類を考察し、二人称代名詞及び定記述に対して細かく分析する上、日本語における対称詞の使用の社会文化背景を探究してみた。
本稿は意味特徴や使用規範において各種の対称詞に対する考察を通して、二人称代名詞と定記述にかかわる呼称表現を整えた。まず、現代日本語では、数多くの二人称代名詞が存在するが、日常会話の中であまり使えないという面白い点がある。それは、話し手と聞き手の日本人は一定の距離感を保つのに慣れるからである。そこで対称代名詞が相手に対する直接過ぎる呼称として、不自然な表現と思われ、できるだけ免れがちである。第二、日本人は序列意識が強くて、部長、課長、主任、係長、一般社員という驚くべき「タテ」の関係によって結びつけられている。一人が会社に入ってからの年数というものがその集団内における個人の位置、権利行使などに大きく影響している。それを背景にして、同僚の間でもそれぞれの資格によって異なった対称詞を使うのは理解しやすいであろう。話し手は両方の上下位置や親疎関係及び雰囲気を考慮しながら一番適切な対称詞を決める。
参考文献:
[1]崔利梅.中日両国語における呼称語の比較研究[D].山东师范大学,2007.
[2]田窪行則.「日本語の人称表現』『視点と言語行動』[J].くろしお出版,1997.
[3]鈴木孝夫,『ことばと文化』,岩波新書,1973
[4]中根千枝,『タテ社会の人間関係』,講談社現代新書,1967
[5]油井恵,日本語および英語における対称詞の機能:ポライトネスと関連性
[6]王冰菁,会話文における対称詞の使用についての日中対照考察
[7]赵淑玲.日本語の人称代名詞に関する一考察――中国語との対照の見地から
[8]杨睿智,小议第二人称代名词在现代日语中的使用[J].科技信息.2009(32).
[9]陈俊森.日语人称代名词在交际中运用的两个问题[J].外语研究,1999(3).
[10]于学英,对日语对称代名词的浅析[J]外语交流,2014(7).
[11]芦立军.日语指示代词所体现的“内外意识”——以代名词为中心[J].日语知识,2010(7).
作者简介:
谢梓飞(1991.12.30—),男,汉族,解放军战略支援部队信息工程大学洛阳校区在读硕士研究生,专业:日语语言文学。