『宇治拾遺物語』と『十訓抄』の比較研究

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  摘 要: 本研究は『宇治拾遺物語』(陽明文庫本)の翻刻を基づいて、日本古典文学の比較研究を行っている。平安時代の「陪従」は身分が高くないが、天皇の側に活躍している。そのため、「陪従」の説話から、天皇の性格なのを読み取れる。また、『十訓抄』にある類話との比較を通して、両作品の関連性を明らかにする。
  キーワード:説話 古典文学 堀河天皇 陪従
  一、はじめに
  『宇治拾遺物語』は十二世紀から十三世紀前半、及びその後加筆されたと見られる。一九七話の全体として教訓性が弱く、笑いに関わる説話が多く収録している。それに対して、『十訓抄』は一二五二年の成立とみられ、約二八〇話の世俗説話を収められ、年少者に勧善懲悪の精神を教えるという目的で集められた。二つの説話集に所収の説話は、『今昔物語集』など先行する様々な説話集と共通する話が多く、類似の話も見られた。そこで、本研究は両説話集に収められた「家綱·行綱兄弟」の説話について考察を行う。
  本説話で登場した人物は、平安時代の陪従の、家綱·行綱兄弟である。堀河天皇の頃、陪従に対して、「宮中での御神楽の夜に、珍しく面白いことをしてみよ」という命令があった。そこで、家綱が弟の行綱に、自分で考えた演出の内容をすべて言った。これは、寒さのあまり、下半身を焚き火で暖めようとする男性の様子を誇張したものである。しかも、下品な言葉遊びをもともなっている行綱が「主上(天皇)」の前でそうしたことをするのは、「不都合でしょう」と言って止めたため、家綱は忠告に感謝し、本番で呼び出されると、たいして面白くない芸をしてみせた。ところが、次に行綱が呼ばれると、家綱前の「不都合」の提案を利用して、天皇から臣下までが大笑いにした。後半の話は、家綱が復讐のために、演出で行綱に頼まれたことを言わず、先に行綱の台詞を言い、行綱が逃げてしまったという話である。
  この説話を読み終えた後、なぜ行綱は「不都合」のことを天皇たちに見せたのに、逆に大成功したのかという疑問があった。また、『宇治拾遺物語·打聞集全注解』(昭和四十五年二月、有精堂)の注釈による、同じ話は『十訓抄』新編日本古典文学全集55(一九九九年四月、小学館)にも見える。この二つの説話の相違点について、考察を行う。
  二、管弦が得意の堀河天皇
  『新日本古典文学42』(一九九〇年十一月、岩波書店)「宇治拾遺物語」第七十四話の注釈で、以下の内容がある。「これに興じた堀河院はみずからも笛の名手で、芸能への志向が強かったが早世した。そのことを背景として読むと、卑俗にわたるこの滑稽譚の味わいもしみじみとして来よう。」本説話では、兄の家綱が天皇の前に演ずる予定の内容について、弟の行綱に相談した。行綱は兄の計画が天皇の前で「不都合」の理由で、兄に諦めさせた。ところが、行綱は兄の計画を盗んで、自分の考えも加え、堀河天皇の前で演じた。その結果、天皇から臣下までが大笑いにして、大成功であった。家綱がその計画を諦めるのは多少「不都合」を感じたはずである。しかし、弟の行綱はその「不都合」のことを通して、演出が成功した。ここで注目したのは、堀河天皇がこの「不都合」の演出に怒らず、大笑いにしたことである。
  堀河天皇について、『日本国語大辞典 第二版』第13巻(二〇〇〇年十二月、小学館)で「和歌·音楽にすぐれ、特に笙·笛に巧みであった。」という内容がある。堀河天皇に関する話は、『古今著聞集』(昭和六十一年十二月、新潮社)で以下二つの話がある。
  ○二六一 「堀河院、節会に急ぎ入御ありて皇帝を吹き給ふ事」あらすじ
  堀河院の御時、堀河院は宴会に常よりも急ぎ退場した。他の人は怪しいと思うが、御膳宿の方に、皇帝破陣楽を吹き出す方が出た。その方は堀河院である。これは珍しく素晴らしいことである。
  ○二六三 「堀河院の御時、殿上と地下の楽敵に地下勝つ事」あらすじ
  堀河院の御時、管弦の演奏比べがある。殿上は三台を奏する。堀河院は御笛の担当である。破二反、急三反、更にまた何回も繰り返した。この答えとして、地下は五常楽を奏する。最後の勝敗は地下の勝になった。
  以上の話から、堀河天皇は管弦に魅了させ、笛の演奏は得意という事が分かった。それから、堀河天皇は蕓能が好きということが推測できると思う。では、もし臣下は天皇の前に、「不都合」のこと、或いは失礼なことをすると、堀河天皇はどう反応するのか。『宇治拾遺物語』第七十四話で、猿楽者の行綱は「不都合」のことをしたのに、逆に堀河天皇が大笑いした。『十訓抄』で以下の話がある。
  ○一ノ三八話 「笛吹き明宗の気後れ」あらすじ
  堀河院の御代、明宗という大変に上手な笛の奏者がいた。しかし、この人は驚く程の気後れをしてしまう人であった。堀河院が笛をお聞きになりたいと思って、明宗を召し出した。明宗は帝の御前であると思っただけで、がたがた震えて、まったく吹くことができなかったのである。院は女官に「個人的に坪庭に呼び出して、笛を吹かせなさい。私が立ち聞こう」と言った。月の美しい夜、明宗は「女だけが聞いているのだ」と思って、奏した。院は感動させ、「常日頃、笛の名人とは思っていたが、これほどまでの名人とは思わなかった。本当に素晴らしい」と言った。明宗は「帝がお聞きになっていた」と気付くやいなや、緊張して、縁から庭に転げ落ちてしまった。そのことから、「安楽塩(ああ落縁)」というあだ名がついてしまった。
  以上の話から見ると、堀河天皇は度量が広い人と感じた。この話の主人公、気後れの明宗は天皇の期待に応えられず、天皇の前で笛の演奏ができなかった。これはわざと天皇の仰せを違反するではないが、「不都合」のこと、或いは失礼なことをしたのは間違いない。しかし、堀河天皇は工夫して、笛の演奏を聞いた。以上の話と『宇治拾遺物語』第七十四話の話を合わせて考えと、堀河天皇は笛が得意、管弦と芸能が好き、度量が広い人と見られる。そのため、第七十四話で、行綱はすごし「不都合」のことを演じたが、堀河天皇が怒らず、臣下と共に大笑いにした。   三、『十訓抄』中巻第七の第十七話との相違点
  『十訓抄』中巻第七の第十七話(以下①と称す)で、『宇治拾遺物語』第七十四話(以下②と称す)とほぼ同じ内容の説話が見られる。両説話を比較すると、以下の相違点が気付いた。
  1、庭火を走り回る回数
  ①で、家綱は弟に相談した時、「とかへりばかり走りめぐらむと思ふ」と提案した。ここで、家綱は十回ほど走り回ろうと思った。その次に、この点に関する、行綱が演じたのは「庭火を走り回りたりけるに」である。後半の本番で、兄の計画通り庭火を十回程走り回したかどうか、①で書いてない。
  ②で、家綱は弟に相談した時、「庭火を三めぐりばかりはしりめぐらんと思ふ」と提案した。ここで、家綱は三回走り回ろうと思った。行綱が演じたのは「庭火を十まはりばかり走りまはりたるに」である。後半の本番で、兄の計画を盗んだ上で、自分の考えも加え、「三回」から、「十回」に変えた。
  それから、①で以下の内容がある。「かの兄がいひつることをたがへず」である。以上の内容からみると、①で行綱は完全に兄の計画通り演じたということが分かった。②では、行綱が自分の考えを加えて演じた。この点の改変は、兄の計画をもっと面白くになるではないか。この世に例のない程の猿楽者、藤原行綱は評判通りであると感じた。
  2.兄弟が仲違いの時間
  ①で、「二三年は面もむかはざりけり」と書いた。②で、「目も見合わせずして過ぐる程に、家綱思ひけるは、「謀られたるは憎けれど、さてのみやむべきにあらず」と思ひて、行綱にいふやう、「この事さのみぞある。さりとて兄弟の中違ひ果つべきにあらず」といひければ、行綱悦びて行き睦びけり」と書いた。
  ②で「二三年」の時間帯が書いた。②で、はっきり書いてないが、短時間内で仲直ししたと感じられる。①と②の話の後半は、兄家綱のお返しの話である。この点を考えて、家綱は騙された弟に復讐する予定があるとしたら、①の「二三年」にすごし違和感を感じた。それから、家綱、行綱兄弟は、陪従の職を務め、御神楽など様々な祭で、会う可能性が高い。以上の内容を考え、②の描写はよりに筋が通っていると思う。
  四、まとめと今後の課題
  今回の説話を通して、堀河天皇は笛が得意、管弦と芸能が好き、度量が広い人と見られる。説話集に書いている話は、虚構の成分があるが、多くの説話集から堀河天皇に関する話をまとめて見ると、堀河天皇の性格について、推測できるのではないか。また、『宇治拾遺物語』には、口誦されていた話を採録したと思われるものが多數含まれる。つまり、ほかの説話集で書いている類話と比べると、省略された内容があるようである。今後の研究で、『今昔物語集』、『宇治拾遺物語』などの説話集に書かれた類話の比較を通して、それぞれ説話集の間の関連を一層深く明らかにする必要があると考える。
  参考文献:
  [1]大島建彦校注『宇治拾遺物語』新潮日本古典集成第71回(一九八五年九月、新潮社)
  [2]小林保治、増古和子校注·訳『宇治拾遺物語』新編日本古典文学全集50(一九九六年七月、小学館)
  [3]三木紀人、浅見和彦、中村義雄、小内一明校注『宇治拾遺物語 古本説話集』新日本古典文学大系42 (一九九〇年十一月、岩波書店)
  [4]中島悦次『宇治拾遺物語·打聞集全注解』(昭和四十五年二月、有精堂)
  [5]浅見和彦校注·訳『十訓抄』新編日本古典文学全集51(一九九九年四月、小学館)
  作者简介: 劉東波、新潟大学大学院修士課程在学。劉成龍、新潟大学大学院博士課程在学。
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