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一、問題提出
以下は明清時代白話小説の“齊整”と“整齊”の用例:
①後來看小全哥滿了五年,晁夫人齊整送他與吳學顏一處,却也還在宅裡住的日多,在莊上住的日少(《醒世》49.14b.1)1)(きちんとした?整った)
②到了天明,各軍將士均已整齊隊伍,在轅外候送。這些倭民,聞知大將軍回京,都想懇留(《野叟》第134回)(秩序正しく整える)
③胡無翳道:…如今果然壘在後園龕內,京城裡面,多少勛臣太監都來瞻拜,皇太后都差了司禮監下來上香,修蓋的好不齊整(《醒世》22.8b.9)(整う?整える)
④却說晁夫人一百零四歲的壽辰,興旺人家,那個不來趨奉。又恭逢這般盛典,不要說有整齊酒席欵待,就是空來看看,也是平生罕見的奇逢(《醒世》90.8b.8)(ちゃんとそろえている)
⑤寳象花揀妝、棹椅錦杌擺設齊整。大娘子吳月娘房裏使着兩個丫頭,一名春梅,一名玉簫(《金瓶》9.2a.4)(ちゃんとそろえている)
⑥和書童兒、玳安兒,又早在前?擺放桌席齊整,請衆奶奶每逓酒上席(《金瓶》43.13a.3)(ちゃんとする)
⑦你家裡放着一個又標緻,又齊整,又明眉大眼,又高梁鼻相的個正頭妻,這裡又有一個描不成畫不就的個小娘子,狗攬三堆屎,你又尋將我來是待怎麼(《醒世》79.6a.9)(美しい、綺麗である)
近世時代を中心に“齊整”と“整齊”についての先行研究は僅か少ない。管見の限りで張巍(2010)《中古汉语同素逆序词演变研究》は近世時代に少し触れた。以下のように指摘する。
“齐整”和“整齐”有相同的义项但是有不同的分工,“整齐”上古已有,还可用作动词,“齐整”中古产生,没有动词用法,到近代汉语齐整可以用来描述容貌外表,而“整齐”一般没有此种用法。
張巍は“齊整”と“整齊”が同じ意味項目を持っているが、使い方は違うと指摘する。しかしながら、ただ意味面だけの差異を説明する。
本研究は张巍の研究に補充したい。
例①~⑦を見てみよう。
品詞面で例①“齊整”は形容詞の副詞化(きちんとした)で“送他與吳學顏一處”を修飾するが、例②“整齊”は動詞(秩序正しく整える)で用いられる。“齊整”は動詞の用法があるか。“整齊”は形容詞の副詞化の用法があるか。品詞面ではこれについて検討したい。
会話文と地の文で例③“齊整”は口頭語として使用されるが、例④“整齊”は地の文に使用される。会話文と地の文で両用語は差異があると考えられる。
文の成分で例⑤⑥“齊整”両方は動詞の補語である。例④棹椅錦杌擺設齊整“名詞 動詞 形容詞”の句法構造は普通の表現であるが、例⑤擺放桌席齊整“動詞 名詞 形容詞”の句法構造もある。“動詞 名詞 形容詞”の句法構造は一般的な表現ではない。文の成分で“齊整”と“整齊”の差異は張巍は言及してない。
意味面で例⑦“齊整”は「美しい、綺麗である]の意味で、例②、④“整齊”と違う。そして、現代普通話ではこの意味項目はないが、方言ではまだ残っている。
例①~⑦を説明したように、明清時代の“齊整”と“整齊”の違いは意味面の他に、品詞面、会話文と地の文、文の成分、現代漢語への継承では差異が存在する。本研究を通して张巍の研究不足分を補充したい。
以上の問題点を纏めると、以下のようになる。
⑴明清時代“齊整”は形容詞の副詞化の使い方がある。“整齊”も一緒であるか。そして、“整齊”は動詞の使い方があるが、“齊整”はあるか。
⑵会話文と地の文では明清時代の“齊整”の口語色は“整齊”より強いか。
⑶句法構造上では、明清時代の“齊整”は動詞の補語としての用法があり、文の中では名詞の前後にも置き、動詞の前後にも置くが、“整齊”はどうなるか。
⑷明清時代では“齊整”の“漂亮、俊俏”「美しい、綺麗である」意味は使用されるが、現代共通語にはあまりない。しかし、現代方言にはどう継承するか。
二、語義分析
考察から“齊整”と“整齊”は三つの意味項目があり、“不亂合乎一定的形式(不雜踏;不參差不齊)”「整然としている」→Aとする、“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」→Bとする、“齊全;完備”「整える、揃う」→Cとする。
“齊整”と“整齊”は明清代表的白話小説で基礎方言(南方、北方)、意味項目によってどのように分布するかを表一に作られた。
a.明清時代“齊整”は意味項目A、B、Cがあり、南方でも、北方でも使用する。当時一般的に使用する意味は項目A“不亂合乎一定的形式(不雜踏;不參差不齊)”「整然としている」である。これは現代漢語でも常用する意味である。
b.“齊整”の意味項目Cは明代《金瓶》15条、清初期《醒世》34条検出したが、清初期以後の用例が少なくなり、《紅樓》1条、《儒林》3条、《兒女》2条、《官場》1条になる。意味項目Cは現代漢語でもあるが、あまり使用しない。これは明清時代白話小説の使用状況からわかる。“整齊”は同じように、意味項目Cは《西遊》、《三言》、《二拍》、《金瓶》、《醒世》、《紅樓》に出現したが、清中期以後の用例があまりない。
c.明清時代“整齊”は“齊整”と同じように、意味項目A、B、Cもあり、南方も北方も使用する。当時一般的に使用する意味は項目A“不亂合乎一定的形式(不雜踏;不參差不齊)”「整然としている」である。全体的に見れば、“整齊”は明清時代ではあまり使わないことが分かる。一方、“齊整”の使用頻度は比較的に高く、明清時代の“強勢詞”である。特に、明中期《金瓶》51条、清初期《醒世》115条出現した。しかしながら、言葉の発展で清中期以後は“齊整”の使用頻度は低くなり、“整齊”のようになりつつあり、明中期から清初期の優勢地位を失ってしまう。“齊整”の意味項目B“漂亮;俊俏”の意味は清末《官場》と《兒女》には用例未検出である。これは現代普通話になると“齊整”の意味項目B“漂亮、俊俏”の意味はあまり使わないという点では一致である。 d.全体的に見て“整齊”は明清時代にあまり使用されないが、民国から多く用いられるようになる。これは表二から分かられる。老舍の《四世同堂》に27条、巴金の《激流三部曲》に17条、張恨水の《金粉世家》に11条が出現する。
“齊整”は初期《醒世》時代以前使用頻度が高く、《金瓶》51条、《醒世》115条であるが、清中期以後は急減した。清代中期《紅樓》ではただ6条検出した。そこで、疑問が出た。“齊整”と“整齊”の語用機能を行使する用語は何なのか。考察から、単語“齊”は清中期以後よく使われる。“齊”の組み合わせ能力が高く、主に動詞と組み合わせる。例えば、“伺候齊了、“預備齊了”、“收拾齊了”、“搭配齊了”、“打點齊了”、“鋪齊”、“排齊”、“修齊”、“配齊”、“擺齊”、“坐齊”、“站齊”、“拿齊”、“備齊”、“湊齊”、“齊集”などである。その他、“齊備”、“齊全”の用例も多い。《紅樓》に“齊備”は16箇所、“齊全”20箇所出現する。
三、明清時代“齊整”の意味の特徴
明清時代“齊整”は形容詞の副詞化(きちんとした)の用法がある(例①、⑧、⑨参照)。
①後來看小全哥滿了五年,晁夫人齊整送他與吳學顏一處,却也還在宅裡住的日多,在莊上住的日少(《醒世》49.14b.1)(きちんとした?整った)
⑧自實只說道長久不見,又遠來相投,怎生齊整待他(《二拍》第二十四卷)(きちんとした?整った)
⑨那家子請我到家,齊整請了我一席酒,謝了我五兩銀(《醒世》6.9a.4)(きちんとした?整った)
ところが、明清時代、“整齊”は基本的に形容詞で述語として使用される(例⑩参照)。
⑩吃了晚飯,點上香拜了菩薩,命道婆自去歇着,自己的禪床靠背俱已整齊,屏息垂簾,跏趺坐下,斷除妄想,趨向真如(《紅樓》87.10b.5)(ちゃんと整えている)
そして、明清時代“齊整”は意味項目B“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」の場合、多く使用するも「人の容貌」に限定していない、物も修飾する(例?、?、?参照)。この点は植田均《醒世姻緣傳》方言語彙辞典(2016)も言及する。
?晁大舍叫人與計氏說道:適間用了五十兩銀子買了轎來,甚是齊整,叫你去看看(《醒世》6.4b.3) (素晴らしい、綺麗である)
?你叫人收拾一副齊整些的攢盒,拿兩大尊酒,一盒子點心,一盒雜色果子,且先送與他過節(《醒世》3.11a.4) (素晴らしい、綺麗である)
?問狄希陳道:姑夫,你看這頂帽套何如。狄希陳道:好齊整帽套。我京裏也看夠了幾千百頂,就只見了兵部職方司老吳的一頂帽套齊整,也還不照這個前後一樣,他那後邉就不如迎面的(《醒世》84.10a.8) (素晴らしい、綺麗である)
?衆丫嬛笑道:好一個齊整風箏,不知是誰家放的,斷了線倃們拿下他來(《紅樓》70.9a.10) (素晴らしい、綺麗である)
例?は“轎”、例?は“攢盒”、例?“帽套”、例?“風箏”を修飾する。全部物である。
四、明清時代“整齊”の意味の特徴
明清時代、“整齊”の意味項目B“漂亮、俊俏”「美しい、綺麗である」はあまりない。
張巍(2010)《中古汉语同素逆序词演变研究》は近世時代の“齊整”、“整齊”の意味差異を以下のように述べた。
齐整到近代汉语可以用来描述容貌外表,而整齐则没有此用法。
明清時代、“整齊”の意味項目B“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」は本当にないか。明清时代“整齊”の考察から意味項目Bの用例がある。例?~?参照)。
?高贊見女兒人物整齊,且又聰明,不肯將他配個平等之人,定要揀個讀書君子,才貌兼全的配他(《醒世恒言》第7卷)(美しい、綺麗である)
?見堂中坐着個尼姑誦經,年紀雖是中年,人物到還十分整齊(《醒世恒言》第19卷)(美しい、綺麗である)
?公子進去門,夫人便問你往那裏去來。前年在咱家裏做飯的老張婆子他說,人家有個閨女極整齊,待找你來合你商議,再找不着你。公子說俺不要他。夫人惱了說你還沒問問是誰,就說不要,從此可也不給你找老婆了。你待等着做駙馬呵。你等着罷了。(《聊齋俚曲集》第1回)(美しい、綺麗である)
?母親胡氏,年已老邁。女兒名叫春瑛,却生得阿娜聘婷,整齊標致,那年已是二十五歲。(《八仙得道》第69回)(美しい、綺麗である)
?一人自想道:不料此地學塾裏面,却有這等整齊的人,但不知他是誰家的小姐。若得此人為妻,也總算償得夙願了(《文明小史》第40回)(美しい、綺麗である)
?這波子雖不能說生得如花似玉,容貌盡算是很整齊的,所以能使張孝友意惹情牽(《留東外史》第39回)(美しい、綺麗である)
明清時代“整齊”の意味項目Bは用例殆どない。これは張巍(2010)“整齊”の意味判断にずれが生じる原因と思われる。
明清時代、“整齊”は基本的に形容詞で述語として使用されるが、動詞の使い方もある(例?参照)。これは当時の“齊整”と違って、“齊整”は動詞の使い方があまりない。
?這張廣兒分路在外行劫,因千裏腳陳名報道二大王已拿得有美貌女子,請他到介山相會,所以整齊隊伍而來,行村過鎮,壯觀威儀(《醒世恒言》第21卷)(秩序正しく整える)
五、現代方言への継承
現代普通話で“整齊”と“齊整”は普段形容詞として“東西不淩亂;外形規則完整”の意味で使用される。例えば、“物品擺放整齊/齊整”、“隊伍排列整齊/齊整”、“字寫得很整齊/齊整”などである。“整齊”は常用語として良く使用される。“齊整”は一般的に用いられない。佟慧君(1983)《常用同素反序词辨析》では“整齊”と“齊整”の意味や使い方は同じ、ただ、“齊整”より、“整齊”の方がよく使用されると述べた。しかしながら、明清時代では“齊整”の使用頻度は“整齊”より比較的に高く、明清時代の“強勢詞”である。特に、“齊整”は話し言葉として意味項目B“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」意味で使用されるのが普通である。(付録を参考する) 明清時代“齊整”の意味項目B“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」は現代共通語にはあまりないが、現代方言にはどうなるか。
《汉语方言大词典》により、“齊整”は方言で、“漂亮、俊俏”「美しい、綺麗である」を表し、冀魯官話(河北)、中原官話(鄭州、原陽、商丘)、江淮官話(如東、安慶)、吳語(上海、啟東、呂四、南通、蕭山、杭州、舟山、寧波、安吉)、贛語(南昌)、客話(長汀)、閩語(邵武)の地域に依然として使用される(南方でも北方でも使用する)。
これは明清時代“齊整”は南方でも北方でも“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」意味を使用することを反映する。ただ、語彙の発展で“漂亮;俊俏”の意味の使用は減りしつつある。最後に現代南方、北方の方言に継承される。
“明清時代整齊”の意味項目B“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」はあまり使用しない。現代方言には継承されるか。
《汉语方言大词典》により、“整齊”は方言で、“美麗;漂亮”「美しい、綺麗である」を表し、粵語(廣東陽江)、閩語(福建壽寧)の地域に依然として使用される。ただ南方の地域だけである。これも明清時期“整齊”の“美麗;漂亮”「美しい、綺麗である」の使用は北方より南方の小説に多く出現するという特徴を反映する。
六、句法構造から
6.1“齊整”:文の中で置く位置の活発性
“齊整”は同一の意味を表す時に補語でもでき、状況語でもでき、定語でもできる。以下の例文を見てみよう。
例?~?の“齊整”は「整える、備える」の意味が使用されるが、文の置く位置と文の成分は違う。
例?安排酒席齊整、例?擺放桌席齊整、例?安排酒席齊整
例?齊整擺了酒、例?齊整擺了兩席酒、例?齊整擺了兩席酒
例?安排齊整酒肴、例?設了齊整酒肴、例?辦了齊整酒席
↓
例?~例?「動詞 名詞 齊整」の構造
例?~例?「齊整 動詞 名詞」の構造
例?~例?「動詞 齊整 名詞」の構造
「動詞 名詞 齊整」、「齊整 動詞 名詞」と「動詞 齊整 名詞」の構造は置く位置が変わっても表す語義はあまり変わらない。このような「形容詞 動詞 名詞」の構造と「動詞 形容詞 名詞」の構造は置く位置が変わっても語義はあまり変わらないことは現代漢語でもある(例?、?参照)。
?合理地 進行 管理=進行 合理的 管理
?安安穩穩 過 日子=過 安安穩穩的日子
置く位置が変わっても語義はあまり変わらない形容詞はごく一部だけ。全部の形容詞ではない(例?、?参照)。
?開心的 來到 校園≠△來到 開心的 校園
?正確的 答 題≠△答 正確的 題
しかしながら、明清時代の“齊整”は「動詞 名詞 齊整」の構造もある。
→例?安排酒席齊整、例?擺放桌席齊整、例?安排酒席齊整
この場合の“齊整”は文の中に補語として使われる。形容詞が補語として用いられる構造「名詞 動詞 形容詞」は一般的である(例?、?参照)。
?房間 打掃 幹凈。
?坑 挖 淺了。
もし、「動詞 名詞 形容詞」の構造のようにしたら(例?、?参照)、
?×打掃 房間 幹凈。
?×挖 坑 淺了。
「動詞 名詞 齊整」の構造は不自然である。
上記のように、明清時代の“齊整”は「動詞 名詞 齊整」、「齊整 動詞 名詞」と「動詞 齊整 名詞」の構造はあり、置く位置を変えても語義はあまり変わらない。補語の場合、「動詞 名詞 齊整」構造は特徴である。同じ時代の“整齊”はこのような用法はあまりない。また、現代漢語でもあまり使わない。“齊整”は置く位置の多様性は明清時代では“整齊”より活発的であることがわかるだろう。
ところが、明清時代の“整齊”は“齊整”と比べ、そんなに活発的ではない。用例が少ない。文の中で一般的に述語として使用される。
6.2“齊整”の重畳現象-“齊齊整整”。明清時代“齊整”は発展するとともに重ね型“齊齊整整”も使われる(例?、?参照)。
?叫家人在廳上明灼灼點了燭,生了火,頓下極熱的酒,果子按酒攢盒擺得齊齊整整的,又在對面倒廳內也生了火,點了燈,暖下酒,管待下人(《醒世》14.3a.10)(ちゃんとそろえている)
?後邉又新從景州來了一個尼姑,姓郭,年紀三十多歲,白白胖胖,齊齊整整的一個婆娘,人說他原是個娼婦。出家其人伶俐乖巧,能言會道,下在海會白衣庵裡(《醒世》8.11b.2)(美しい、綺麗である)
例?、?から“齊齊整整”は「ちゃんと揃えている」意味と「美しい、綺麗である」意味を持っている。表三は明清時代“齊齊整整”の出現状況である。表三から見れば、明清時代では“整整齊齊”より“齊齊整整”の方は使用頻度が高い。《金瓶》10条、《醒世》6条。“整整齊齊”は《金瓶》1条で、他の小説には未検出である。そして、“齊整整”の重ね型の用例がある(例?参照)。“齊齊整”の用例は未検出である。
?便是天果然合你有個年誼世好,他也沒法了。縱有旺騰騰的好時運,也不怕不重新敗壞下來;齊整整的好家園,也不怕不重新蕭條下來(《兒女》29.2a.6)(整える?立派な)
“齊整整”と“齊齊整整”は“齊整”の重ね型で、“整整齊齊”は“整齊”の重ね型で、それぞれ使用回数から、明清時代の“齊整”が活発的ということの反映とは言えるだろう。
七、会話文と地の文から
小説の語体は二種類に分かれ、一つは小説の物語叙述部分を地の文と呼ばれ、もう一つは作品の中での会話で用いられる言葉遣いを口頭語と言われる。これに基づいて清初期、北方漢語の代表的な白話小説《醒世》の“整齊”と“齊整”の会話文と地の文から調べた結果は表四のようである。 データから“齊整”の口頭語(43/115)と地の文(72/115)はそれほど差が大きくない。しかしながら、“整齊”は出た2条は全部地の文に使用される。“整齊”と“齊整”のそれぞれ会話文と地の文の使用条数から““齊整”の口語色は“整齊”より強く、当時で基本的に日常生活の会話で用いられ、通俗的、分かりやすい言葉と考えられる。一方、“整齊”は会話文の使用状況はあまり活発ではない。
明清時代“齊整”は強い口語表現であることは《紅樓》からも分かられる(表五参照)。
八、結語
本研究を通して、明清時代の“齊整”と“整齊”の違いは意味面の他に、品詞面、会話文と地の文、文の成分、現代漢語への継承での差異が以下のようにある。
明清時代の変遷について、明清全体的に見れば、“齊整”の使用頻度は“整齊”より比較的に高く、明清時代の“強勢詞”である。特に、明中期《金瓶》51条、清初期《醒世》115条出現した。しかしながら、言葉の発展で清中期以後は“齊整”の使用頻度が低くなり、“整齊”のようになりつつある。清中期以後“齊整”は既に明中期から清初期の優勢地位を失ってしまう。そして、“整齊”は明清時代にあまり使用されないが、民国から多く用いられるようになる。
品詞、意味面で明清時代の“齊整”は形容詞の副詞化(きちんとした)の意味もあり、“漂亮、俊俏”「美しい、綺麗である」意味の場合、多く使用するも「人の容貌」に限定していない、物も修飾する。一方、明清時代の“整齊”は普通に形容詞で述語として使用されるが動詞の使い方もある。これは“齊整”と違う。
會話文と地の文から明清時代の“齊整”の口語色は“整齊”より強く、当時で基本的に日常生活の会話で用いられ、通俗的、分かりやすい言葉と考えられる。一方、“整齊”は会話文の使用状況はあまり活発ではない。
現代方言への継承について、“齊整”は方言で、“漂亮、俊俏”「美しい、綺麗である」を表し、南方、北方の一部では依然として使用される。これは明清時代“齊整”は南方でも北方でも“漂亮;俊俏”「美しい、綺麗である」意味を使用することを反映する。一方、“整齊”は方言で、“美麗;漂亮”「美しい、綺麗である」を表し、粵語(廣東陽江)、閩語(福建壽寧)の地域に依然として使用される。ただ南方の地域だけである。これも明清時期“整齊”の“美麗;漂亮”「美しい、綺麗である」の使用は北方より南方の小説に多く出現するという特徴を反映する。
文の置く位置について、明清時代の“齊整”は「動詞 名詞 齊整」、「齊整 動詞 名詞」と「動詞 齊整 名詞」の構造はあり、置く位置を変えても語義はあまり変わらない。補語の場合、「動詞 名詞 齊整」構造は特徴である。同じ時代の“整齊”はこのような用法はあまりない。また、現代漢語でもあまり使わない。“齊整”は置く位置の多様性は明清時代では“整齊”より活発的であることがわかるだろう。
[注]
1)“《醒世》49.14b.1”は例文の出典を指す。“醒世”は《醒世姻緣傳》、“49”は《醒世姻緣傳》の49回、“14”は14ページ目、“a”は表(“b”は裏)、“1”は1行目である。
[謝辞]
本研究を進めるにあたり、ご指導を頂く植田教授に感謝致します。また、日常の議論を通じて多くの知識や示唆を頂いた研究室の皆様にも感謝します。
参考文献:
[1]植田均.醒世姻縁傳[M].方言語彙辞典,白帝社,2016.
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【作者简介】石亮亮,熊本大学博士後期三年生。